中断していたメルコスール・カナダFTA交渉の推進で合意

(ブラジル、メルコスール、カナダ)

米州課

2023年05月23日

ブラジル開発商工サービス省(MDIC)は5月9日、同省商工サービス貿易局(SECEX)のタチアナ・プラゼーレス貿易局長がエマニュエル・カマリアナキス駐ブラジル・カナダ大使と5月8日に会談を行ったことを明らかにした。

両者は、2国間の貿易関係強化と、中断していたメルコスール・カナダ間の自由貿易協定(FTA)交渉を推進する旨で合意し、持続可能でインクルーシブな貿易を目指して協議を継続することとした。メルコスールとカナダは2018年3月、FTA交渉を開始した(2018年3月29日記事参照)。これまで、両国・地域は7回の交渉会合を行ってきた。2019年7月29日~8月2日に開催された第7回交渉会合が最後で、新型コロナウイルス感染拡大も相まってその後は交渉会合が行われていなかった。

MDICによれば、この会談の前には、2023年3月13日にカナダのロブ・スチュワート・グローバル連携省国際貿易次官がMDICのアリーネ・ダマセノ局長と会談した。スチュワート次官は、両国は共通の価値観を共有し、民主主義を重んじ、持続可能な経済発展を目指すという共通認識から、ブラジルとの一層の関係強化を求めた。

2022年のメルコスール4カ国(アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ)からカナダ向け輸出額は63億3,260万ドルで、輸入額は58億5,690万ドル。輸出入ともに2000年以降で過去最高額を記録した(注1)。貿易黒字は4億7,560万ドル。

メルコスールからの主な輸出品はHSコード7108に分類される「金」(注2)で、輸出額全体の26.5%を占める(注3)。次いで輸出額が大きいのは、2818に分類される「酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム」(注4)で、輸出額全体の22.5%を占める。対カナダ輸入品では、3104に分類される「肥料」(注5)の割合が66.5%と最も大きな割合を占める。ブラジルは、肥料を諸外国からの輸入に頼っており、カナダに加えて対ロシア輸入でも、HSコード3104に分類される「肥料」が最大の輸入品となっている。

(注1)出所はメルコスール事務局統計。

(注2)実行関税率表の分類では、「金(白金をめっきした金を含むものとし、加工してないもの、一次製品および粉状のものに限る)」。

(注3)出所はメルコスール事務局統計。2022年の輸出における割合。

(注4)実行関税率表の分類では、「人造コランダム(化学的に単一であるかないかを問わない)、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム」。

(注5)実行関税率表の分類では、「カリ肥料(鉱物性肥料および化学肥料に限る)」。

(辻本希世)

(ブラジル、メルコスール、カナダ)

ビジネス短信 c94f293213cfc8d4