物流パフォーマンス指数でマレーシアの順位上昇、ASEANの2位に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年05月01日

世界銀行が4月23日に発表した2023年版物流パフォーマンス指数(LPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(第7版)によれば、マレーシアのLPIは世界139カ国・地域中26位だった。前回2018年版の41位、2016年版の32位から順位を上げ、ASEANの中では世界首位のシンガポールに次ぐ2位に付けた。LPIは5が最高で、シンガポールは4.3、マレーシアは3.6だった。なお、日本は3.9で、フランス、スペイン、台湾と並ぶ世界13位。

LPIは世界銀行がほぼ2年おきに発表する、各国の貿易や物流の効率性を順位付けした指標で、物流事業者への調査や各データパートナーから収集した情報に基づき作成される(世界銀行ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。新型コロナウイルス感染拡大の影響から、サプライチェーンが寸断され物流網が混乱に陥ったことで、世界銀行は2018年版を最後に作成を中止していたが、今回約5年ぶりに更新した。

LPIは6つの項目で構成され、マレーシアの指数はそれぞれ、「通関の効率性」が3.3、「貿易・物流関連インフラ」が3.6、「国際出荷の容易さ」「物流サービスの質」「貨物の追跡能力」「輸送の定時性」が3.7だった。特に「国際出荷の容易さ」では、ドイツやオランダと並ぶ世界8位にランクインした。

マレーシア生産性公社(MPC)のアブドゥル・ラティフ局長は4月26日の声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、「LPIは、各国が競争力を高めるべく国際物流の改善点を特定するのに有用なツールだ」と評した。物流生産性ネクサス(LPN)(注)のマイケル・ティオ代表もまた、「マレーシアには物流産業が発展するための包括的なインフラがそろっており、陸・海・空いずれの接続性も良好」とし、シンガポールを目標にLPIで世界トップ10に入ることも可能だと見通した。一方で、同氏は「制度と規制のミスマッチ、国境でのボトルネック、人材の不足や非熟練性など改善の余地もある」と課題を示し、LPNがその解消に取り組む用意があると意欲を示した。

なお、ジェトロがまとめた2022年度「海外進出日系企業実態調査」でも、マレーシアの物流関連インフラはポジティブに捉えられている。所在国・地域のビジネス環境において、経営に良い影響がある項目が何かを尋ねた際(複数回答可)、マレーシアでは「港湾インフラの整備状況」との回答は17.5%、「道路インフラの整備状況」は17.0%と、ASEAN主要6カ国の中でそれぞれシンガポールの32.6%と29.2%に次ぐ回答率を記録した。進出日本企業も、マレーシアの物流関連インフラはビジネス環境上のメリットだと評価している。

(注)第12次マレーシア計画の下、産業および企業レベルで生産性と競争力を向上させるべくMPCが創設した産業界ネットワーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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