IMF金融支援を国会承認、債務再編が進展へ

(スリランカ)

コロンボ発

2023年05月09日

スリランカの国会で4月28日、IMFの金融支援プログラムの履行に関する決議案が、与党・スリランカ人民党(SLPP)の議員らによる賛成多数で可決された。野党の統一人民戦線(SJB)やスリランカ自由党(SLFP)、タミル国民連合(TNA)の議員の多くは棄権した。

3月20日のIMF理事会で同支援プログラムが承認された一方で、債務再編の具体的な履行が注目されている(2023年4月5日記事参照)。IMFの支援にあたり、税制改正などの国内における構造改革が必要とされているが、スリランカの国会における支持が明確となったことで、今後の債務再編に関する取り組みの進展が期待される。

本議決に先立ち、ラニル・ウィクラマシンハ大統領は4月26日に議会で演説し、債権者との交渉を通じて170億ドルの債務削減が必要となることを指摘した。そのうえで、国家間の債務に関しては、インドおよびパリクラブ(主要債権国会議)からなる主要債権国、最大債権国である中国とそれぞれ再編交渉を進める考えを明らかにした。加えて、スリランカ国内での債務再編を議論していくため、国内金融機関に対して協調を呼びかけている。

日本を含む先進国から構成されるパリクラブおよびインドは4月13日、IMF・世界銀行春会合のサイドイベントにおいて、スリランカの債権国会合の発足を発表している。本枠組みは、中所得国であるスリランカの債務再編を国際社会が共同で支援することを目的としており、中国の参加可否が注目されている。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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