カザフスタンと中国、220億ドルの投資プロジェクトに署名

(カザフスタン、中国)

タシケント発

2023年05月29日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は518日、同国代表団とともに、中国・中央アジアサミットの一環として中国・西安で開催された「カザフスタン・中国投資円卓会議」に参加した。中国側からは、中国中信集団(CITIC)、中国石油天然気集団(CNPC)、中国電力建設集団(PowerChina)、中国通用技術集団などの中国大手国有・国営企業、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の代表者らが出席した(大統領府ウェブサイト518日)。

会議の冒頭、トカエフ大統領は、世界的に困難な経済状況の中でも両国間の貿易・経済関係がダイナミックに発展し続けており、2022年の両国の貿易額が過去最大の310億ドルに達したことに触れながら、貿易・経済のさらなる連携強化に向け、エネルギー開発、鉱業、製造業、電子商取引(EC)、物流インフラ開発、農業、金融など、幅広い分野で中国側の投資を呼びかけた。

トカエフ大統領の中国公式訪問中に、カザフスタンと中国は、総額220億ドル相当の47件の投資関連文書に署名した(大統領府ウェブサイト518日、添付資料表参照)。

今回の中国とのサミットと投資プロジェクトに関して、専門家からは賛否両論の意見が出ている(「ザコンKZ519日 )。

大統領府付属の「国民クリルタイ」メンバーで政治学者のタルガト・カリエフ氏は、中国との協力プロジェクトは単なる資源取引ではなく、高度な製造技術の移転に関係していると評し、カザフスタンにおける新規雇用創出、人的資源の競争力向上などのメリットも強調する。ビザの相互免除により、カザフスタン国民の中国への渡航が身近になり、対中ビジネス活動が活発化すると期待する。また、中国は世界2位の経済大国で、カザフスタンの経済的利益のために最大限利用すべきだ、と述べている。

一方、国民社会民主党副党首で、経済学者のアイダル・アリバエフ氏は、ロシアの中央アジア諸国への影響力低下を好機として中国が同地域への影響力を強めており、経済協力をてこに、長期的スパンで政治・経済的に勢力圏に収める動きとみている。国内の専門家やブロガーがビザ相互免除制度の有益性を伝えているが、中国からの移民の流入を警戒し、同ビザ免除制度に反対するカザフスタン国民も多い、と述べている。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国)

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