サンクトペテルブルク市で観光税導入が延期に

(ロシア)

欧州課

2023年05月30日

ロシアのサンクトペテルブルク市で2023年8月1日に予定されていた観光税の導入が2024年4月1日に延期されることになった。市政府サイトに掲載された法律の修正案によると、2023年10月1日からはいったん、観光税の税額を「ゼロ」ルーブルとして運用を始め、2024年4月に実質的な運用に移行する。観光税の導入後は、旅行者は市内の宿泊施設を利用した際に1泊当たり100ルーブル(約180円、1ルーブル=約1.8円)を支払うことになる。

市側は導入延期の理由を明らかにしていないが、5月25日付の地元紙「実業ペテルブルク」は、ロシア旅行業連盟のイリヤ・ウマンスキー会長が4月にサンクトペテルブルク市議会などに対して観光税導入の延期を要請していたことを紹介している。旅行業界ではかねて、ルールが不明瞭との指摘や、観光税が市の魅力を低下させるといった批判が出ていた(2023年3月10日記事参照)。

観光客数は回復するも、外国人観光客の誘致が課題

サンクトペテルブルク市観光発展委員会の発表(2023年1月13日)によると、2022年に同市を訪れた観光客は800万人を超えた。1,040万人を記録した新型コロナウイルス禍前の2019年の水準には及ばないが、2021年比では3割以上増加している。

ただ、外国人観光客に限ると、コロナ禍前の1割にも満たない状況が続く。市は外国の観光客誘致を目的に「ようこそサンクトペテルブルクへ」と銘打ったイベントを各国で精力的に行っている。直近では4月にアルメニアで、5月には中国とウズベキスタンで開催した。

写真 市中心部にあるターミナル駅周辺には団体客の姿が絶えない(ジェトロ撮影)

市中心部にあるターミナル駅周辺には団体客の姿が絶えない(ジェトロ撮影)

【欧州課】

(ロシア)

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