マクロン大統領、外資誘致会合で130億ユーロの対内投資計画を発表

(フランス)

パリ発

2023年05月22日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5月15日、対内投資促進を目的とした会合「チューズ・フランス(Choose France)」を開催した。外国企業の最高経営責任者(CEO)200人以上をパリのベルサイユ宮殿に招き、フランスへの投資に向けた取り組みと経済的魅力をアピールした。フランス貿易投資庁によると、日本企業7社も参加した。

2018年にマクロン大統領が開始し、6回目となる会合では、2018年来最多となる28件の外国企業による投資プロジェクトが発表された。そのうち半分以上がグリーン産業関連で、投資総額は130億ユーロ、8,000人の雇用創出を見込む。

今回最大の投資プロジェクトは、5月12日に発表された台湾のプロロジウム・テクノロジーによる電気自動車(EV)用バッテリーの大型工場の建設で、投資総額は52億ユーロ、3,000人の雇用を見込んでいる(2023年5月18日記事参照)。中国のアモイタングステン新エネルギーはフランスの原子力関連事業オラノとの合弁会社を設立し、EVバッテリーの正極材(CAM)とその前駆体材料(PCAM)の生産工場を建設する(投資総額15億ユーロ、1,700人の雇用、2023年5月18日記事参照)。

このほか、複数の欧州企業によるコンソーシアムのオロソリス(Holosolis)による太陽光発電パネル製造工場(7億1,000万ユーロ、1,700人の雇用)の設置、英国とイタリアの原子力ベンチャー企業ニュークレオ(Newcleo)の小型モジュール炉(SMR)の開発・製造(30億ユーロ)、スウェーデンの家具販売イケアによる店舗・物流センターの設置(12億ドル)、米製薬大手ファイザーによる5億ユーロの追加投資などが発表された。

5月15日付「ル・モンド」紙ウェブ版によると、マクロン大統領は、この機会にファイザー、鉄鋼大手アルセロール・ミタル(本社:ルクセンブルク)、ベルギー化学大手ソルベイ、米EVテスラなど大企業の代表と個別に会談した。テスラのイーロン・マスクCEOは将来の大型投資の可能性を示唆したが、明言は避けた。

一方、会計コンサルティング大手のアーンスト・アンド・ヤングが5月11日に発表した欧州の投資誘致の魅力度に関する年次報告書によると、2022年のフランスでの投資案件数は前年比3%増の1,259件で、4年連続で欧州最多となった。第2位が英国(929件、前年比6%減)、第3位がドイツ(832件、同1%減)だった。

フランス貿易投資庁が同日発表した2022年の同国への投資に関する国別の調査によると、2022年の日本からの投資案件は41件(前年39件)で、1,158人(前年1,015人)の雇用を創出した。新規の投資案件が9件、拡張が32件だった。投資案件の主な業種は自動車と食品で、雇用創出は自動車製造業に集中した。2022年の欧州における日本企業の投資先としては、フランスが第1位で、英国とドイツがその後に続いた。

(奥山直子)

(フランス)

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