タイ、フィリピン向け輸出品にかかるRCEP協定原産地証明書の発給準備整う
(タイ、フィリピン)
バンコク発
2023年05月29日
タイ商務省外国貿易局(DFT)は5月23日、フィリピンで6月2日に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効することを受け、フィリピン向け輸出品にかかるRCEP協定原産地証明書(フォームRCEP)の発給準備が整ったことを明らかにした。DFTは、フィリピン向け輸出でRCEP利用を検討する輸出者に対し、次のような留意点を挙げている。
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HS2022年版のフィリピンのRCEP品目別規則(PSR)
を確認すること。
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税率差ルールがある品目
(注1)に該当するかどうか。
- フォームRCEPは、電子署名・シール(ESS)システム(注2)でのみ発行される。
- 原産地規則検認システム(ROVERs)による原産性判定の申請(HS25~HS97に該当する品目のみ)は、5月29日以降に提出することが可能。
全ての締約国からのフォームRCEP受け入れへ
タイ税関は5月23日に税関通達第84/2566号を発出し、RCEP協定の優遇措置を受けることができる輸出国リストにフィリピンを追加したと発表した。今回の更新をもって、全てのRCEP協定締約国がリストに記載された。タイの輸入業者は6月2日以降、いずれかのRCEP協定締約国が発行したフォームRCEPを提出することで、税関通達第237/2564号に規定した規定と手続きに従い、RCEP協定締約の輸出国から輸入される原産品のRCEP協定特権を主張し、免税・関税率の引き下げを求めることができる。
(注1)RCEP協定では、輸入する原産品の種類や輸出国によって、適用する関税率が異なる場合がある。税率差発生品目の場合、低い税率が適用される締約国を意図的に経由して輸入する「迂回輸入」が発生することが考えられ、これを防ぐルールがRCEP協定第2、6条に定められている。
(注2)DFTのシステム。企業はあらかじめ署名情報などを登録することで、窓口での署名・押印などが不要となる(商務省資料参照)。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、フィリピン)
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