中銀、4月も政策金利を7.5%に維持

(ロシア)

欧州課

2023年05月02日

ロシア中央銀行は4月28日に行われた理事会で、主要政策金利(キーレート)を7.5%に据え置いた(添付資料図参照)。

据え置きの背景として、中銀は前回3月の理事会に続き(2023年3月24日記事参照)、現在の物価上昇率が落ち着いていることを挙げた。しかし、家計のインフレ期待度は低下しているものの、企業のインフレ期待と同様に依然として高い水準にあるとした。また、国内の経済活動が2月時点の予想より早く回復して需要が増加していることや、財政支出の増加、交易条件の悪化(注)、労働市場の人手不足がインフレ上振れリスク要因だと指摘した。

エリビラ・ナビウリナ中銀総裁は4月28日の記者会見で、インフレ率は2月時点の予測をわずかに下回る一方で、GDP成長率は予測を上回っていることから、2023年の景気は回復する見通しだと述べた。他方で、景気回復にはインフレ圧力が伴う可能性があると指摘した。

中銀は、2023年のインフレ率は4.5~6.5%、2024年は目標の4%となり、その後も4%前後で推移すると予測している。政策金利については、2023年は7.3~8.2%、2024年は6.5~7.5%と見込んでいる。

次の理事会は6月9日に予定されている。ナビウリナ総裁は、インフレ圧力が徐々に高まることが見込まれることを踏まえ、2024年以降のインフレ率を4%程度で安定させるため、利上げの必要性を引き続き検討をするとした。

(注)交易条件=輸出物価指数/輸入物価指数。交易条件の悪化は輸出価格に比して輸入価格の上昇を意味し、国外への支払いが増えるため、通貨安や輸入コストが増加する要因となる。

(小野塚信)

(ロシア)

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