中銀、政策金利7.5%を維持、インフレ懸念が続く

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2023年03月24日

ロシア中央銀行は3月17日に行われた理事会で、主要政策金利(キーレート)を7.5%に据え置いた(添付資料図参照)。

据え置きの背景として中銀は、現在の物価上昇率が落ち着いていることを挙げた。しかし、家計のインフレ期待度は低下しているものの、企業のインフレ期待と同様に依然として高い水準にある中、財政支出が増えていることや、交易条件の悪化(注)、労働市場の人手不足がインフレ上振れリスク要因だと指摘した。

エリビラ・ナビウリナ総裁は3月17日の記者会見の中で、インフレが上振れるリスクがあり、年内は利下げより利上げの可能性が高いと述べた。ナビウリナ総裁は、リスクの要因の1つとして昨今の財政支出動向を挙げ、財政支出が民間需要の縮小を相殺する効果を挙げていると述べたうえで(2023年3月6日記事参照)、今後、財政赤字が拡大するとインフレを促進させると指摘した。労働力不足による供給制約や、西側諸国による対ロシア制裁が強化されれば物流の見直しや通貨ルーブルの下落に伴うコストの増加も、物価上昇の要因となると説明した。

ナビウリナ総裁は、2023年のインフレ率は5~7%、2024年には目標の4%に戻り、その後は4%前後で推移するとの見通しを説明した。次の理事会は2023年4月28日に予定されている。

(注)交易条件=輸出物価指数/輸入物価指数。交易条件の悪化は輸出価格に比して輸入価格の上昇を意味し、海外への支払いが増えるため、通貨安や輸入コストが増加する要因となる。

(小野塚信)

(ロシア)

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