外国投資家景況感指数が73%へ上昇

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年05月22日

ラオス日本人商工会議所や在ラオス・オーストラリア商工会、EU商工会などの外国商工会議所は5月10日、共同で「2022年下半期ラオス外国投資調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。本調査は2021年第4四半期から開始されたもので、12カ月間の外国投資家景況感指数(注1)および設備投資、利益、雇用、現金保有、コスト、売上高などの項目別の見通しやリスク環境を分析したもの。従来、本調査は四半期ごとに行っていたが、今回から年2回(上半期・下半期)に変更し、95社が回答した。

外国投資家景況感指数は73%と、前回調査(2022年第2四半期)の68%から5ポイント上昇した(添付資料図1参照)。うち、事業が「改善」と回答した企業は69%と、前回調査の57%から12ポイント上昇し、「悪化」と回答した企業は6%と前回調査の24%から18ポイント減少した。設備投資や利益、売上高など項目別の見通しについても、ほとんどの項目で前回調査よりも「改善」の回答が増えた。ただし、生産コストについては「改善」が34%と前回調査の70%より36ポイント下がり、「悪化」が36%と前回調査の11%より25ポイント上昇した。報告書では、現地通貨キープの下落、インフレ率の上昇、賃金の上昇などを原因として、特に鉱山、建設、電力、ホスピタリティ・観光分野でコスト見通しが悪化したと分析している。全体としては、2023年もインフレや現地通貨安が続くとみられるが、原油価格高騰の緩和や、周辺国のペントアップ(繰り越し)需要の発現により、貿易機会や観光の活発化が予測されることで、総じて見通しが楽観的になっていると分析した。

また、リスクに関する設問(注2)では、為替変動、規制強化、外貨調達に関する懸念が上位となり、前回調査と同様の傾向となった。特に金融リスク指標は61%となり、前回調査の53%から8ポイント上昇し、事業運営リスク指標を大きく上回った(添付資料図2参照)。理由として、為替変動、外貨調達、資金調達、金利などの金融リスクに対する懸念が疫病や労働力などの事業運営リスクよりも増大したためと分析した。

(注1)外国投資家景況感指数とは、調査時点から12カ月間のビジネス状況の予想についての設問で、「改善する」を1ポイント、「変更なし」を0.5ポイント、「悪化する」を0ポイントとして積算し、さらに全回答者数で割り、100を掛けたものを示す(単位は%)。最大値は100%で、数値が高いほど今後12カ月間の景況感が良いことを示す。

(注2)今後12カ間で予測されるリスクを12項目(為替変動、規制、外貨調達、金利、汚職、労働力、資金調達、流動性、天災・疫病、サプライチェーン、サイバー攻撃、その他)から最大3項目を選択する設計となっている。ここでの金融リスク指標とは、為替変動、外貨調達、金利、資金調達、流動性の項目の合計選択数を12項目の総選択数で割り100を掛けたもの。同様に、事業運営リスク指標は、規制、汚職、労働力、天災・疫病、サプライチェーン、サイバー攻撃、その他の項目の合計選択数を12項目の総選択数で割り100を掛けたもの。金融面と事業運営面のどちらがよりリスクとして認識されているかを示す。

(山田健一郎)

(ラオス)

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