第1四半期のGDP成長率は2.7%、5四半期ぶりプラス成長

(香港)

香港発

2023年05月08日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は5月2日、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比で2.7%と発表した(添付資料図参照)。5四半期ぶりのプラス成長となり、前期から6.8ポイント改善した。

第1四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は、香港と中国本土間の防疫措置の撤廃にともない消費者心理が急激に改善し、前年同期比12.5%増と前期(1.7%増)より10.8ポイント拡大した。固定資本形成も同様に、5.8%増と前期(8.9%減)より14.7ポイント改善した。他方、政府消費支出は、0.5%増と前期(9.1%増)から8.6ポイント低下した。貿易は、サービス輸出(16.9%増)、サービス輸入(20.6%増)ともに前期より大幅に上昇した。財輸出(18.7%減)、財輸入(14.5%減)は、いずれも前期からマイナス幅が縮小した。

香港政府報道官は、2023年第1四半期の香港経済の改善要因について、「インバウンド観光と内需の力強い回復が牽引した」と述べた。また、財・サービス輸出については、「財輸出は外部環境の悪化に伴い前年同期比でさらに減少したが、サービス輸出は中国本土とその他地域の往来の正常化を受けて急増した」と振り返った。その上で、同報道官は2023年の香港経済について、「インバウンド観光と内需が主な原動力となり続けるだろう。また、労働市場の改善と電子消費券の配布が個人消費を引き続き下支えする」との見方を示す一方で、継続的な懸案事項として、金融引き締め、課題を抱える財輸出、先進国経済の成長鈍化に伴う外需への影響を挙げた。

なお、香港政府は5月12日、2023年第1四半期のGDP成長率の詳細を公表する。

(松浦広子)

(香港)

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