フランスの水処理大手スエズ、チュ二ジアの廃水処理プロジェクトに参画

(チュ二ジア、フランス)

パリ発

2023年05月10日

フランスの水・廃棄物処理大手のスエズは4月21日、チュニジア衛生局(ONAS)との間の、廃水処理インフラ整備および運営・保守の受託合意書に調印したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。チュニジアの水部門では初の官民連携(PPP、注1)で、同社のほか、チュニジアのセゴール(Segor)、SCETグループ、チュニジア・アラブ国際銀行(BIAT)(注2)が、南部のスファクス、ガベス、メドニン、タタウィンの4行政区域において、住民計96万人へ廃水サービスを提供する。契約期間は10年、総額は2億ユーロだ。

当プロジェクトには年間3,900万立方メートルの処理能力を持つインフラ(14の廃水処理場、106のポンプ場、1,900キロメートルのパイプライン)の運用と保守が含まれる。また、既存の廃水処理場の改修と、廃水を農業用水として再利用する追加工程(紫外線処理やリン除去などの3次水処理プロセスを介する)も提供する予定だ。インフラの運営・保守にはチュニジア政府が、修復と拡張には世界銀行が資金提供する。

スエズのサブリナ・スーサン会長兼最高経営責任者(CEO)は「このプロジェクトでチュニジアを支援し、チュニジアをアフリカ大陸における衛生管理のリーダーとしたい」とコメントした。1948年にエジプトで浄水場を建設して以来、アフリカに積極的進出してきたスエズは、近年特にチュニジア、モロッコ、エジプト、セネガル、コートジボワールでの事業展開に力を入れている。

チュニジアは地球温暖化による慢性的な干ばつに見舞われており、政府は4月14日、水不足問題に対処するための危機管理特別室の創設を発表した。

また、政府は2023年3月31日から同年9月まで、飲料水の一時的な割当制度を設け、同期間における、農業、灌漑、公共スペースの清掃、洗車のための水道水利用を禁止するなどしている。今回の廃水処理プロジェクトのほか、海水淡水化プラント計画も進めている。

(注1)PPPは「Public Private Partnership」の略。公的機関と民間企業が連携してインフラ事業などを実施する形態で、ファイナンス面やプロジェクト運営の効率性向上といった便益が期待されている。

(注2)当PPPのコンソーシアムは、スエズ80%、セゴールおよびSCETグループ12%、チュニジア・アラブ国際銀行(BIAT)8%で構成される。SCETグループはチュニジアの大手エンジニアリング会社。セゴールはスエズとSCETグループの合弁会社。

(渡辺智子)

(チュ二ジア、フランス)

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