新型コロナ衛生上の非常事態終了を宣言、「風土病」としての対応に

(メキシコ)

メキシコ発

2023年05月15日

メキシコ保健省のウーゴ・ロペス-ガテル・ラミレス予防・健康促進担当次官は5月9日、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の早朝記者会見において、メキシコにおける新型コロナウイルスによる「衛生上の非常事態」の終了を宣言した(大統領府5月9日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。世界保健機関(WHO)による5月5日の新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)による「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了宣言を受けたもの。保健省のレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、5月8日時点でメキシコの新型コロナ感染者数は759万5,863人で、33万3,961人が死亡した。

ロペス-ガテル次官は、この決定はWHOの基準に基づくとし、「衛生上の非常事態」の終了の背景として、メキシコにおける感染者数、入院者数、死者数が継続的に減少傾向にあること、新型コロナ感染およびワクチン接種により全人口の約95%が抗体を有していること、現在の変異株は以前の変異株よりも弱毒化しており、深刻な被害を引き起こす可能性が低いことなどを挙げた。また、公衆衛生審議会が、2020年3月末(2020年4月1日記事参照)に発表した新型コロナに関する衛生上の非常事態を定めた法令の効力を停止する法令に大統領が署名したとし、次官は、保健省や公衆衛生審議会が出した新型コロナに関連するさまざまな法令の適用を停止することを明らかにした。

同次官は「新型コロナウイルスはすでにエンデミック(風土病、一定期間で繰り返される流行)であり、もはやエピデミック(突発的な過感染)ではない。浮き沈みがあるものの永遠に私たちの中に残り、間違いなく今年の寒い季節に流行するだろう」と述べ、同感染症の位置付けを変更したことを明らかにした。

この変更を受け、次官は、マスクの着用・就業不能状態による休業補償などの一般的推奨事項や新型コロナの監視体制を定める7つの長期計画を検討することを発表とした。この計画の中で、メキシコ政府が無償提供する予防接種プログラム(ユニバーサルワクチンプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に新型コロナワクチンを組み込むことを検討しており、技術的仕様については近日中に公表するとしている。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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