シンガポール運輸相、持続可能な航空燃料普及で使用の義務化も視野

(シンガポール)

シンガポール発

2023年05月23日

シンガポールのイスワラン運輸相は515日、持続可能な航空燃料(SAF)の普及に向け、航空機にSAFの使用の義務化またはインセンティブの導入を検討していることを明らかにした。シンガポール民間航空庁(CAAS)は2023年中に発表予定の「持続可能な航空ハブ・ブループリント」の中で、SAFの導入義務またはインセンティブを盛り込むか検討を進めている。

同運輸相は、米国・デトロイトで開催された第11APEC交通大臣会合(51517日)に出席。その会合中に開催されたSAF投資サミット(同月15日)で、SAF使用の義務やインセンティブ導入のほか、需要を集約するため買い手となる法人のクラブの設置も検討していると述べた。また、同運輸相はSAFの使用にあたって、「(国際的に)政策を調和させ、相互認証が可能な基準や枠組み」の必要を強調した。その上で、同運輸相はSAFの利用促進のための『航空グリーンレーン』の設置に向けて、米国、日本、ニュージーランドと話し合いを始めていると語った。シンガポールと日本は202212月、航空政策の重点分野での連携で協力覚書を締結。その一環として、グリーンレーンの設置に関する調査での協力で合意している。

ネステがシンガポールで生産のSAF、チャンギ空港の航空機に供給へ

一方、フィンランドの再生燃料製造会社ネステは517日、シンガポール南西部にある同社プラントの拡張工事(総投資額16億ユーロ)が完成したと発表した。拡張工事により、同プラント工場の再生燃料の生産能力は年間260万トンへと拡大し、このうち最大100万トンをSAFとすることができる。これにより、シンガポールが現時点で、世界最大のSAF製造国となった。

ネステの発表によると、同社プラントで製造されたSAFの原燃料の「ニートSAF(注)」は既存の航空燃料と混ぜ、認証を受けた上でチャンギ空港に乗り入れる航空機に供給される。ネステは同空港での燃料補給のため、空港内の燃料貯蔵・インフラ会社チャンギ・エアポート・フュール・ハイドラント・インストレーション(CAFHI)の少数株を取得することに合意した。

(注)ニートSAFは、廃食用油や廃動物油脂などの廃棄物を原料に生産された燃料。化石由来の航空燃料に混合した上で航空機に補給される。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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