ASEAN+3(日中韓)財務相・中央銀行総裁会議が開催

(インドネシア、ASEAN、日本、中国、韓国)

ジャカルタ発

2023年05月09日

ASEAN+3(日中韓)財務相・中央銀行総裁会議(AFMGM+3)が5月2日、インドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相、ペリー・ワルジヨ・インドネシア銀行総裁、日本の鈴木俊一財務相、植田和男日本銀行総裁の共同議長の下で、韓国・仁川で開催された(5月3日インドネシア銀行プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。アジア開発銀行(ADB)総裁、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)所長、ASEAN事務局副事務総長、IMF副専務理事が出席した。

スリ財務相は、新型コロナ禍の影響が残り、ロシア・ウクライナ紛争が危機に発展しているにもかかわらず、2022年のASEAN+3の経済成長率が3.2%と高い水準を維持していることに言及した。また、米国と欧州における最近の銀行セクターの混乱は引き続き警戒が必要であるものの、2023年のASEAN+3地域の成長率は、景気回復の改善が見られる中、力強い内需に牽引されて4.6%になると予想されるとした。

インドネシア銀行(中央銀行)のペリー・ワルジヨ総裁は、国際貿易・投資決済における特定の支配的通貨への依存度が高いことが、ASEAN+3における脆弱(ぜいじゃく)性を高め、金融安定化リスクを増大させる可能性があると指摘し、取引における現地通貨の利用拡大を促進することにより、ASEAN+3諸国間の決済接続における協力関係を強化・強化することの重要性を強調した。

会議では、新型コロナ禍にかかる状況の改善を踏まえ、新型コロナウイルス関連の政策措置を縮小させていく必要性を認識したほか、「持続開発な開発のための2030アジェンダ」(注1)を引き続き進捗させることが有益だと確認した。また、WTOを中心とした、開放的、自由、公正、包摂的、衡平で透明性のある、無差別でルールに基づく多国間貿易システムへの各メンバーの強いコミットメントを再確認したほか、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の実施を全面的に支持するとした。その他、地域金融取極の将来的な方向性に関する議論やチェンマイ・イニシアチブ(CMIM)(注2)の継続的な課題などについて議論が行われた。

2024年のAFMGM+3は、ジョージア・トビリシで、ラオスと韓国の共同議長の下で開催される予定だ。

(注1)2015年9月25日の国連総会で採択された、2030年までの国際社会共通の目標・行動計画。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)を中核とする。

(注2)2000年5月の第2回ASEAN+3財務相会議において採択された、外貨準備を使って短期的な外貨資金の融通を行う2国間の通貨スワップ取り決めのネットワーク。

(尾崎航)

(インドネシア、ASEAN、日本、中国、韓国)

ビジネス短信 4fd3c009e01aa17f