欧州を代表するフードテック専門展示会「Food 4 Future 2023」開催

(スペイン、日本)

マドリード発

2023年05月30日

スペインのバスク州ビルバオで、欧州の代表的なフードテック関係の専門展示会「Food 4 Future(フードフォーフューチャー)」が5月16日から18日に開催された。今回で3度目の開催で、287社が出展、34カ国から8,372人が来場し、前回の7,217人を上回って過去最高を記録した。

今回、日本は同展示会のゲスト国だった。5月16日のオープニングイベントでは、農林水産省の宮浦浩司新事業・食品産業部長が参加し、「日本とスペインは食文化を共有し、国民の健康増進にも大きく貢献してきた。両国とも、食を改善する技術を開発中で、国民の生活の質を向上させることができるだろう」と述べた。また、3月7日付のFood 4 Futureのプレスリリースによると、主催者のNEBEXT(ネベクスト)のイベントディレクター、セルジオ・ファブレガット氏は、日本がゲスト国として参加することに関し、「日本は環境の持続可能性と農業食品産業の人工知能(AI)といった新技術の導入という点で、ベンチマークとなる国。展示会に日本の専門家が多数参加することで、この業界のプロフェッショナルに対し、テクノロジーが食品の生産・加工・保存に与えている変化などの良好事例を共有してもらえる素晴らしい機会だ」と評した。

同展示会のジャパンパビリオンには、16社の日本企業・機関が出展した。会期中に併催されたカンファレンスでは413人の専門家が講演し、AIや循環型経済、パーソナライズドニュートリション(注1)などに焦点を当て、「食」の今後について議論した。日本からも、味の素の執行役ビジネスモデル変革担当兼グリーン事業推進部長執行役ビジネスモデル変革担当の柏原正樹氏や、シグマクシス常務執行役員の田中宏隆氏をはじめ、複数の講演者が登壇した。早稲田大学文学学術院文化構想学部のドミニク・チェン教授は「食を通したウェルビーイング」が議題のパネルディスカッションで登壇し、発酵という日本の食文化とAI技術を掛け合わせたフードロス対策ロボット「NukaBot(ぬかボット)」(注2)の紹介などを行い、会場の関心を集めた。

同展示会の規模はなお発展途上だが、国連の持続可能な開発目標(SDGs)が重要視される今、今後の拡大が期待される。

写真 ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)

写真 「食を通したウェルビーイング」の講演の様子(ジェトロ撮影)

「食を通したウェルビーイング」の講演の様子(ジェトロ撮影)

(注1)科学的な評価を用いて個人の身体的特徴に合わせた助言や製品を提供する分野。

(注2)人と対話するぬか床ロボット。人がぬか床に話しかけることでぬか床の状態を確認し、ぬか床は手入れを催促することでインタラクティブなコミュニケーションが生まれ、対話を通して発酵と腐敗の絶妙なバランスが実現するという製品。

(高氏朋佳)

(スペイン、日本)

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