IMF理事会、ガーナへの30億ドルの融資承認

(ガーナ)

アクラ発

2023年05月19日

IMF理事会は5月17日、ガーナ政府に対する約30億ドルの融資を承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同融資は拡大クレジットファシリティー(Extended Credit Facility:ECF)に基づく3カ年計画で、このうち約6億ドルは即座にガーナ政府への支出が可能になる。

同融資を通じて、金融の安定性の維持や民間投資と成長の促進を実現とするとし、歳入増加策の導入、財政管理の強化、エネルギー、カカオ部門の構造的課題への対処といった財政健全化に向けた構造改革が予定されている。金融面では、インフレ率の抑制と外貨準備高の回復のため金融引き締めを継続する。IMFはインフレ率の1桁台への到達は2025年になると見込み、2023年と2024年末時点の同予測はそれぞれ29.4%、15.0%としている。外貨準備高について、IMFは、2022年末の推定値を輸入0.7カ月相当とし、2023年と2024年の予測値をそれぞれ輸入0.8カ月、1.4カ月相当と見込んでいる(注)。

ガーナの財政基盤は、新型コロナウイルス感染症対策費の捻出やロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受けた物価高騰などで、その脆弱(ぜいじゃく)性が顕在化し、国際市場からの新規債権調達が困難となっていた。中央銀行の統計では、公的債務の割合は2019年末から2022年11月にかけて約3割増大し、対GDP比93.5%に達した。2022年12月には政府が対外債務の支払いの一時停止を発表し、事実上のデフォルトに陥った(2022年12月21日記事参照)。同月にIMFはガーナ政府と融資について事務レベルで合意に至っていた(2022年12月15日記事参照)。

(注)IMFの外貨準備高の予測値は、石油ファンドや担保付資産を含まない。

(柴田北斗)

(ガーナ)

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