ポーラがホーチミンに初出店、高級化粧品の販促目指す

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年05月15日

化粧品メーカー大手のポーラは4月1日、ベトナム・ホーチミン市内の百貨店に店舗をオープンした。同社のベトナム進出は、2022年5月にダナン国際空港内の免税エリアに出店したのに続き、2店舗目となる(注1)。

今回オープンしたのは、ホーチミン市中心部の1区レロイ通りにある百貨店、高島屋の1階。高島屋内には富裕層や中間所得層をターゲットにした化粧品や婦人アクセサリーのブランドショップが多く入居している。

同社の海外事業部担当者によると、ホーチミン市に出店を決めた理由として、ベトナムが近年、高い経済成長により国内市場の発展を遂げているとともに、人口が1億人近く、平均年齢が30代前半と、成長性が極めて高い市場であることを挙げた。また、若者を中心として美容に対する意識の高まりから、購買意欲が旺盛なため、東南アジア有数の商業都市ホーチミン市に決めたという(ジェトロによるヒアリング4月24日)。

実際にベトナムの小売り・サービス売上高は、新型コロナウイルス流行前の2019年までの過去10年間で年率10%以上の成長を続けており、2009年比で3.5倍の成長を遂げた。2020年は前年比1.7%成長にとどまり、2021年はマイナス3.8%と停滞したが、2022年は18.6%成長となっている。また、ベトナムの実質GDP成長率は、2023年第1四半期(1~3月)に3.32%と低調だったが、業種別にみると、卸・小売業は8.09%と比較的高い成長率を維持し(2023年4月4日記事参照)、化粧品市場も拡大が見込まれる。

ベトナムでは都市部の店舗を中心に、輸入化粧品が多く販売されている。日本ブランドは他国で作られた化粧品と比べると高額ではあるが、品質の良さから高く評価されている。同社の海外事業部担当者は「今後は店頭でのブランド体験の向上とともに、オンラインコミュニケーションの促進を図る。ターゲットへのリーチを推し進め、主力商品のプレステージブランド(注2)のブランディングと販路の拡大を目指す」と話した。

写真 ポーラの店舗の様子(ポーラ提供)

ポーラの店舗の様子(ポーラ提供)

(注1)同社はベトナム以外に、中国、香港、台湾、マカオ、タイ、シンガポール、韓国、マレーシア、オーストラリアの9カ国・地域に進出している。

(注2)消費者に高級なイメージが持たれている高付加価値、高価格帯のブランドを指す。

(児玉良平)

(ベトナム)

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