解雇補償金へのMPF(強制退職積立金)充当を2025年5月1日に廃止予定
(香港)
香港発
2023年05月12日
香港特別行政区政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は4月28日、企業が従業員に支払う解雇補償金(Severance payment)と長期服務金(Long Service Payment)を、強制退職積立金(Mandatory Provident Fund:MPF)の雇用主分積立金から充当できる制度を2025年5月1日に廃止すると公表した。2022年6月17日に立法会(Legco)で関係法案が可決されたが、発効日は示されておらず、2025年末までの実施のみの記載となっていた(2022年7月14日記事参照)。企業はMPF資金の充当制度を活用し、従業員が解雇された場合や退職した際に、企業積立分を解雇補償金や長期服務金の原資に充当できるが、同制度が廃止されれば、従業員の退職後の保障は厚くなり、待遇改善となる一方で(注)、企業の負担は増加する。
また、李行政長官は、制度廃止に伴う企業への助成政策として、制度廃止後最長25年間は最大330億香港ドル(約5,610億円、1香港ドル=約17円)相当の補助金制度を準備していると述べた。
香港政府労働・福祉局の孫玉菡局長は、補助金予算の承認をLegcoにできるだけ早急に求める考えを示した。
(注)従業員は毎月の従業員給与から5%、雇用主も同額を積立金として従業員のMPF口座に拠出している。2025年5月1日に現行制度が廃止されるまでは、企業は従業員の解雇補償金として、企業積立部分を充当することが可能だが、その分、従業員の将来受給予定の金額が減少することとなっている。
(松浦広子)
(香港)
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