シンガポールとマレーシア間鉄道の5割完成、2026年末までに完成・運行へ

(シンガポール、マレーシア)

シンガポール発

2023年05月15日

シンガポールのS・イスワラン運輸相は5月11日、マレーシア南部ジョホール州とシンガポールを結ぶ高速輸送システム(RTS)鉄道の建設工事の約5割が完成したと発表した。RTSは予定どおり2026年末までに完成・運行する見通しとなった。イスワラン運輸相は同日、RTSのジョホール側の工事現場を視察後、マレーシアのアンソニー・ローク運輸相との共同会見で、工事の進捗状況を明らかにした。

RTSは、シンガポールとの国境近くのジョホール州ブキット・チャガールにある駅と、対岸のシンガポール北部ウッドランドにある大量高速鉄道(MRT)のウッドランド・ノース駅間約4キロを結ぶ。同鉄道の工事は両国合意の上で一時中断されていたが、2020年7月に再開していた(2020年8月6日記事参照)。イスワラン運輸相は会見で「RTSは重要な2国間プロジェクト。鉄道は(両国を結ぶ陸橋)コーズウェイ橋の混雑を緩和し、シンガポールとジョホール間のコネクティビティーを改善する」と述べた。シンガポールとジョホール州間は現在、コーズウェイ橋とセカンドリンクの2つの陸橋で結ばれ、新型コロナウイルス流行前には越境通勤や通学などで往来する人は1日当たり約30万人に上っていた。感染拡大に伴う渡航規制が解除されて以降、2つの陸橋の交通渋滞が再び深刻化している。

イスワラン運輸相によると、RTSが運行する両国間の高架橋が2024年初めに接続し、両国首相が接続完了式典に出席する予定だ。RTSのシンガポール側の駅は、シンガポールのウッドランド・ノースMRT駅と地下で接続される。ウッドランド・ノース駅を発着するトムソン・イーストコースト線は南部都心部を結ぶことから、ジョホール州とシンガポール間のアクセスが飛躍的に向上すると期待されている。RTSのシンガポール側の駅舎、トンネル、税関出入国管理・検疫所棟の工事は2020年11月に、五洋建設がシンガポール陸運庁(LTA)から約714億円で受注していた。

(本田智津絵)

(シンガポール、マレーシア)

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