マレーシアとシンガポール間の鉄道建設、再開へ

(シンガポール、マレーシア)

シンガポール発

2020年08月06日

シンガポールとマレーシア両国政府は7月30日、マレーシア南部ジョホール州とシンガポールを結ぶ高速輸送システム(RTS)プロジェクトの再開を合意する式典を、両国を結ぶ連絡橋「コーズウェイ」で行った。式典では、シンガポール・マレーシア両国からそれぞれ、オン・イエクン運輸相とウィー・カーシオン運輸相が合意書に署名し、リー・シェンロン首相、ムヒディン首相が立ち会った。同プロジェクトは2019年4月、マレーシア政府の要請により一時中断することで両国が合意していた。同プロジェクトの中断を受け、RTSの開通は当初予定していた2024年末から、2026年末に再設定された。

RTSは、ジョホール州側のブキット・チャンガール駅と、対岸のシンガポール北部ウッドランドにある大量高速鉄道(MRT)トムソン・イーストコースト線の「ウッドランド・ノース」駅の約4キロを結ぶ予定だ。両国政府の共同発表によると、RTSは当初、トムソン・イーストコーストMRT線と同じ車両と鉄道システムを使用する予定だったが、独立した軽量軌道鉄道(LRT)システムに変更する。ただし、輸送能力については1時間当たり、一方向最大1万人と、当初の予定どおりとなる。新型コロナウイルスに伴う入国規制で両国間の往来が停止するまで、越境通勤や通学などで両国を結ぶ2つの橋を渡って往来する人は1日当たり30万人に上っていた。両国間を結ぶ鉄道が開通すれば、連絡橋両端の混雑が緩和されると期待されている。

RTSの両国の発着駅にはそれぞれ、両国の税関・出入国・検疫(CIQ)施設を設置する予定で、乗客は乗車前に一度で出国と入国手続きを済ませることができるようにする。シンガポールのMRT運行会社であるSMRTと、マレーシア政府系公共輸送事業会社プラサラナは合弁で、RTSの運行会社「RTSオペレーション」の設立に合意。また、マレーシア政府とシンガポール陸運庁(LTA)は、最初の30年間のRTSの運行事業者としてRTSオペレーションを任命することで合意した。RTSの運賃は、開通時期が近付いた段階でRTSオペレーションによって決定される予定だ。

(本田智津絵)

(シンガポール、マレーシア)

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