アダニ港SEZの貨物取扱量が過去最大に

(インド)

アーメダバード発

2023年05月12日

インド新興財閥アダニのグループ企業、アダニ港湾・経済特別区(APSEZ)のカラン・アダニ最高経営責任者(CEO)は、2022年度(2022年4月~2023年3月)の同社の港湾貨物量が339メガトン(MMT、前年度比9%増)となり、過去最大を記録したと発表した(同社プレスリリース4月3日付)。

また、グジャラート(GJ)州西部のムンドラ港は、同期間に6.6MTEU(注)のコンテナ貨物を取り扱い、155MMTの貨物量を誇るインド最大の港湾で、「APSEZの旗艦港。世界品質のサービスでインドのコンテナ貨物のゲートウエー」だという。さらに「ムンドラ港は、船舶のターンアラウンドタイムを最速に設定しており、直ちに停泊することができる。前年度のRO-RO船による取り扱い自動車台数は過去最大の20万9,000台を記録した。これは、長年の顧客であるマルチ・スズキからの信頼の結果だ」と説明している。日系自動車大手のマルチ・スズキは国外市場向け輸出車の多くをムンドラ港から出荷している。

APSEZはインドの海岸線に次々にメガポートを建設し、内陸コンテナデポ(ICD)や倉庫のネットワークを戦略的に構築して、インド内陸輸送の約9割をカバーしている。GJ州のムンドラ、ダべジ、ハジラ、アンドラ・プラデーシュ州のクリシュナパトナムといった大型船舶が入港可能な深水港を開発・運営することで、顧客の物流コスト低減に貢献しているという。さらに、4月3日には、インド南部の連邦直轄地プドゥチェリーの深水港であるカライカル港を買収し、APSEZが国内で管理・運営する港湾は14カ所となった。

一方、インド港湾・海運・水運省は主要港(12港)の2022年度の貨物取扱量は7億9,500万トン(対前年度比10%増)と、過去最高を記録したとしている(「フィナンシャル・エクスプレス」紙4月21日)。また、世界銀行の「物流パフォーマンス指数(LPI)2023」の総合評価で、インドは前回より6ランク上昇し、現在38位(139カ国中)につけた。ナレンドラ・モディ首相は2022年9月に「国家物流政策(NLP)」を発表、物流効率化を通じたサプライチェーン強化を目指し、ハードとソフト両面での課題解消、スピードアップ、コスト軽減に取りくんでいるところだ(「インディアン・エクスプレス」紙4月24日付)。

(注)「Twenty-foot Equivalent Units」の略称。長さ20フィートのコンテナ1本を1TEUとしてカウントしたコンテナ取扱量を表す。

(古川毅彦)

(インド)

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