山東省、農業・農村の現代化に向けた意見発表

中国の山東省政府は5月8日、中央政府が計画した農業・農村の現代化を加速し、農業強国の建設を加速する方針に従うべく、同省の状況を踏まえた「2023年農村振興重点業務の全面的な推進に関する実施意見」を発表した。

「意見」では、食糧と重要農産品の安全供給の保証、農業インフラ建設の強化、農業科学技術と施設・設備の能力向上、農村産業のグリーン低炭素・高品質発展の推進など10項目の内容を示した。そのうち、農業科学技術と施設・設備の能力向上に向けた具体的な取り組みとしては、次を示した。

1. 種苗などの振興活動の十分な実施。主要な穀類・食用油、野菜、家畜・家禽（かきん）、水産物や耐塩性植物などの新品種を育成し、農産品品種のグレードアップを促進する。
2. 農業科学技術イノベーションと技術の普及強化。小麦やトウモロコシ、ジャガイモ、スマート農業機械設備などに関連する技術イノベーションセンターを建設する。
3. 施設農業などの発展レベル向上。工場型集約養殖や立体養殖などの新型養殖施設の発展を奨励する。
4. 農業機械設備の研究開発と活用の強化。大型・中型のスマート化された複合型農業機械や野菜・果物などの専用機械の研究開発と活用を強化し、水・肥料の散布の一元化、給餌の自動化、環境制御のスマート化などの施設・設備技術の研究開発と活用を推進する。

農村産業のグリーン低炭素・高品質発展については、次の取り組みを挙げている。

1. 農業全産業チェーン発展のプラットフォームを構築し、1,000億元（約2兆円、1元＝約20円）級産業クラスターを育成する。農産品の基幹流通ネットワークを整備し、コールドチェーン物流システム建設を強化する。
2. 新産業、新業態を積極的に育成する。半加工食品産業の標準システムの制定を加速する。農産品のEコマース（EC）での直接購買、オーダーメード式生産などのモデルの発展を推奨する。
3. 農産品品質のブランド構築を強化し、農産品品質安全法の履行を徹底する。
4. 農業のグリーン発展を推進し、 化学肥料と農薬の削減と効果向上を推進し、低毒・低残留農薬などの技術と製品の普及促進をする。循環式養殖モデルや水産品のグリーン養殖技術の普及を促進する。
5. 農業面の国際貿易の質の高い発展を推進し、日本や韓国、ASEAN、EUなどへの市場拡大を強化する。

農林畜水産業の生産総額は全国で首位に

山東省は中国の食糧・農産品の安定供給で重要な地域となっている。山東省政府の2023年2月14日の発表によると、同省における2022年の農林畜水産業の生産総額は1兆2,000億元に達し、全国で首位となった。また、農産品輸出額は1,394億元で、中国の農産品輸出総額の20％以上を占めた。食糧総生産量は9年連続で5,000万トンを超え、穀物・野菜・果物、肉・卵・乳製品、水産品などの生産量はいずれも全国の上位にある。

（董玥涵）