4月貿易収支は152億4,000万ドル赤字、34カ月連続の貿易収支赤字に

(インド)

ムンバイ発

2023年05月19日

インド商工省(MoCI)が5月15日に発表した「貿易統計」(速報値)によると、4月の貿易収支(速報値、サービスを除く)は約152億4,000万ドルの赤字で、34カ月連続の貿易収支赤字となった(添付資料図参照)。4月の輸出額は約346億6,200万ドルで、前年同月比12.7%減少、3カ月連続のマイナスに、輸入額は同14.1%減少の約499億ドルで、マイナスは4カ月連続となった。

輸出の内訳を見ると、金額の高い順に、エンジニアリング製品約89億8,600万ドル(前年同月比7.2%減)、石油製品約64億7,600万ドル(同17.6%減)、宝石・宝飾品類約24億2,500万ドル(同30.0%減)などがいずれも減少し、輸出を押し下げた。増加した品目としては、医薬品約22億8,300万ドル(同10.5%増)、電機製品約21億1,400万ドル(同26.5%増)、コメ約10億ドル(同24%増)などがある。

輸入額では、石油・原油および同製品約151億7,300万ドル(同14%減)、石炭・コークス・練炭類約35億2,000万ドル(同28.5%減)を筆頭に、前年同月を下回った品目が目立った。増加したのは、機械・電気・非電気製品類約39億3,000万ドル(前年同月比15.2%増)、鉄鋼類約17億700万ドル(同14.5%増)、豆類約1億5,000万ドル(同52.3%増)などだった。

インフレ対策の金融引き締め(2023年4月19日記事参照)が継続する中、国内需要が減退し、インドの輸入は引き続き減少傾向にある。

3月31日に刷新された「外国貿易政策2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2023年4月11日記事参照)では、7年後の2030年までに2兆ドルの輸出目標を掲げている。折しも、施行後、新年度の初月は、不安定なスタートを切ることになった。

欧米市場の祝祭シーズン向け商品の発注が加速すると予想される9月まで、また、中国が景気回復するまでの「閑散期」を活用して、全体的な貿易スタンスや数少ない巨大市場への輸出依存を見直し、グローバルなバリューチェーンや多国間貿易協定との統合をより進める必要があると分析する現地報道も見られた(「ヒンドゥー」紙5月17日)。

(松永宗徳、寺島かほる)

(インド)

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