中銀が1年ぶりに金利を据え置き
(インド)
ムンバイ発
2023年04月19日
インド準備銀行(RBI、中央銀行)は4月6日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を6.50%に据え置くことを全会一致で決定した。2022年6月会合から6会合連続で引き上げた金利が1年ぶりに据え置きとなった。
RBIのプレスリリースによると、世界経済は地政学的な対立関係や各国インフレ率の高止まり、一部先進国の金融危機などの影響で、前回2月会合以降、株式市場の下落や対ドルレートの上昇幅の縮小など、金融情勢の不安定化が成長見通しの重しとなっているとした。国内経済については、2月末に国家統計局(NPO)が発表した2022年度実質GDP成長率が民間消費と公共投資を原動力として7.0%と予測したことや、2022年度第4四半期(2023年1~3月)の工業生産指数や主要産業指標が急速に伸びて強い経済活動を示していること、港湾貨物取扱量や国内航空旅客輸送量、高速道路通行料徴収額などサービス指標が増加していること、さらに、都市部では自動車販売、農村部ではトラクターや二輪車の販売が増加するなど需要が好調で、鉄鋼消費量やセメント生産量なども増えるなど投資活動が加速的に伸びたことから、底堅く成長していると評価している。
消費者物価指数(CPI)上昇率は、12月の5.7%から2023年2月は6.4%となった。他方、食料と燃料を除くコアCPIインフレ率は1月、2月とも許容範囲の6%を超えたものの、2023年度は年平均原油価格が1バレル85ドル、かつモンスーン(季節風)期の雨量が平常値という前提で、2023年度第1四半期(4~6月)5.1%、第2四半期(7~9月)5.4%、第3四半期(10~12月)5.4%、第4四半期(2024年1~3月)5.2%、通年度で5.2%と許容範囲内で緩やかに上昇すると予測している。
実質GDP成長率は、世界の貿易や生産が減速し外需の減少が悪影響を及ぼす可能性がある一方、国内は「ラビ」(10月から翌年4月の乾季)の豊作が農村部の需要を強め、サービス業の持続的回復が都市部の消費を支え、政府の設備投資促進策の後押しで製造業が順調に伸びることを期待して、第1四半期は7.8%(前回会合時の予測と同じ)、第2四半期6.2%(同)、第3四半期6.1%(0.1ポイント増)、第4四半期は5.9%(0.1ポイント増)と、通年度で6.5%(0.1ポイント増)と予測している。
(松永宗徳)
(インド)
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