中銀、政策金利を据え置き

(フィリピン)

マニラ発

2023年05月25日

フィリピン中央銀行(BSP)は5月18日の金融政策会合で、政策金利を前回会合から変更せず、翌日物借入金利を6.25%、翌日物預金金利を5.75%、翌日物貸出金利を6.75%と据え置くことを決定した。BSPは2022年5月の金融政策会合から9回連続で政策金利の引き上げを行ってきた(政府通信社5月18日付)。

BSPは政策金利を据え置いた理由として、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が減速していることを主な理由として挙げた。フィリピンのインフレ率は2023年1月に8.7%を記録した後、2023年4月には6.6%まで下落している(添付資料図参照)。

2023年のインフレ率予測値を5.5%に引き下げ

BSPは直近のインフレ率の低下を受け、2023年の平均インフレ率の予測値を6.0%から5.5%へ、2024年の予測値を3.1%から2.8%へ引き下げた。BSPは2024年と2025年のインフレ率の予想値は安定しており、政府の目標範囲2.0~4.0%に収まるとしている(注)。

BSPは将来的なインフレ率の上振れ要因として、主要な食料品の供給制約の継続、エルニーニョ現象による食料品や電力料金の値上げ、交通機関の運賃や賃金上昇を挙げた。インフレ率の下振れ要因としては、世界経済の回復が予想を下回る事態を挙げた。

(注)フィリピン政府は物価上昇率の目標範囲を明示し、目標範囲内に収まるように金融政策を運営するインフレターゲットを導入している。政府は2023年から2028年まで、年間のCPI上昇率の目標範囲を2.0~4.0%としている。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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