第1四半期GDP成長率は前期比マイナス0.3%、2四半期期連続のマイナスに

(ドイツ)

ベルリン発

2023年05月29日

ドイツ連邦統計局は5月25日、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(前期比、確定値、季節調整済み)をマイナス0.3%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。長引くインフレが重荷となり、2022年第四半期(10~12月)のマイナス0.5%から、2四半期期連続のマイナス成長を記録した。前年同期比ではマイナス0.5%だった。

需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、個人消費支出は、インフレの影響を特に受けて、飲食料品をはじめさまざまな商品で買い控えが起き、前期比1.2%減だった。政府消費支出も4.9%減となった。一方、投資は前期から増加しており、建設投資は3.9%増と3四半期ぶりにプラスに転じたほか、機械設備投資も3.2%増と大きく増加したが、内需は1.0%減と低迷した。外需(純輸出)はプラスに寄与した。具体的には、輸出は0.4%増で、特にプラスチックと金属加工製品の輸出が堅調な伸びを示した。一方、輸入は0.9%減で、特に原油や化学品などの輸入が減少した。

産業別でみると、最大の伸びを見せたのは建設業で、例年になく穏やかな天候に恵まれたこともあって、前期比6.1%増だった。製造業も2.0%増だったが、多くの産業で年明けは好調だった一方で、3月に景気後退に直面した。サービス業は、業種によってばらつきがあるものの、全体としては製造業よりも動きが弱かった。

欧州内で出遅れるドイツ経済、今後の見通しも不透明

EU統計局(ユーロスタット)の5月16日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、EU27カ国の2023年第1四半期のGDP成長率(速報値、季節調整済み)は前期比0.2%と、わずかに伸びている。スペインとイタリアは0.5%、フランスも0.2%のプラス成長で、ドイツ経済の低迷が目立つ結果となっている。

ドイツ経済の今後の見通しは不透明で、評価は二分している。例えば、5月24日発表のドイツ連邦銀行(中央銀行)の月次レポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、供給ボトルネックの解消や、大量の受注残、エネルギー価格の低下が産業界の継続的な回復を下支えし、続く高インフレの一方で賃金上昇は堅調なため、少なくとも家計の実質所得はこれ以上落ち込まないことが見込まれるとした。そのため、個人消費支出は伸びてはいかないものの、結果として、2023年第2四半期(4~6月)のドイツ経済はわずかなプラス成長の可能性が高いとしている。

一方、ifo経済研究所のドイツ企業景況指数(2015年=100)は、5月24日発表の5月分外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、91.7と、前月比1.7ポイント減だった。2022年11月から改善が続いていたが、7カ月ぶりに悪化した。産業部門別にみると、特に製造業の期待指数(6カ月先の見通し)の悪化が著しく、5月はロシアのウクライナ侵攻開始後の2022年3月分調査以降で最大の減少幅となった。

(日原正視)

(ドイツ)

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