中国、農村部でのNEV普及に向け充電インフラ建設を推進

(中国)

北京発

2023年05月26日

中国の国家発展改革委員会と国家エネルギー局は5月18日、「充電インフラ建設の推進加速と新エネルギー自動車の農村部での普及と農村部振興の支援に関する実施意見」(発改総合〔2023〕545号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(文書は5月14日付)。

公共充電インフラの不足などが農村部での新エネルギー自動車(NEV)の普及を妨げているとして、その解決を図るもの。

充電インフラについては、県・鎮の企業・団体、商業施設、駅などの交通ハブ、サービスエリアなどに優先的に配置する。住宅エリアでの公共充電駐車スペースの設置を進め、地方特別債(専項債)(注1)などの資金も活用する。

NEVを購入する際にあわせて設置される充電ステーションは、スマートチャージ機能を備えることを奨励する。V2G(注2)技術の研究や、太陽光を利用した蓄電・充電一体化設備の活用も進める。

自動車メーカーが、農村部での使用に適した小型のバンやトラックなどを開発することを奨励する。また、農民が戸籍所在地でNEVを購入する場合、地方政府が消費クーポンなどで支援することを奨励する。農村部での自動車ローンの拡大も支援する。

国家発展改革委員会の孟瑋報道官は、中国はすでに521万カ所の充電スタンドを有するなど、世界最大規模の充電インフラを備えているとする一方で、農村部での不足はNEVの使用に大きな影響を与えているとしている(「人民日報」5月25日)。

農村部でのNEV普及にあたっては、充電インフラのほか、車両の価格も大きな問題となっている。市場では10万~20万元(約200万~400万円、1元=約20円)の車種が主流だが、農村部では5万元以下の価格帯が求められているとされる(「中国質量報」5月25日)。

また、NEV販売は、1台ごとに自動車価格の2.5~3倍のサプライチェーンの付加価値増加につながるとして、普及促進が国内消費のレベルアップにつながるとの見方もある(「中国経済網」5月25日)。

(注1)省、自治区、直轄市などが、収益性のある公益プロジェクト実施を目的として発行する地方債券。プロジェクトに対応する政府基金収入もしくはプロジェクトの収入により元利を返済する。

(注2)EVの蓄電池を送配電系統に接続して充放電する技術(Vehicle to Grid)。

(河野円洋)

(中国)

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