アフターコロナの勤務体制、米全体では出社割合増加も大都市圏では在宅割合増加

(米国)

ニューヨーク発

2023年05月26日

米国調査会社のWFHリサーチは5月5日、米国の勤務体制などに関する調査(SWAA)の結果を更新PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

それによると、2023年1~4月の勤務体制を尋ねた設問(注)で、完全出社は35.4%、出社と在宅を併用するハイブリッド勤務は46.2%、完全在宅勤務は18.5%だった。前回調査結果(2023年2月21日記事参照)から、それぞれ1.4ポイント増、0.7ポイント増、2.0ポイント減となり、完全在宅勤務の割合が減少した一方、完全出社とハイブリッド勤務の割合が増加した。ただし、米国全体では、2020年10月以降、在宅勤務の割合が低下しているが、全米人口上位10都市に限定した場合、同割合は2022年11月以降、上昇傾向にあり、大都市圏での在宅勤務の日数は増加している。

ニューヨーク大学などが2022年6月に公表し、2023年3月に最終更新した在宅勤務とオフィススペースの関係性に関する調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、「ハイブリッド勤務体制や在宅勤務体制を導入し、オフィススペースを大幅に削減する企業が後を絶たない」と指摘している。また、オフィススペースの稼働率低下などにより、今後、オフィス不動産の長期的価値は44%低下すると予測されている。

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は2023年1月9日、マンハッタンなどの中心地域で使用されていないオフィスを住宅に転用するための提言を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。これは現行の規制を緩和し、商用不動産を住宅利用しやすくすることで、ニューヨーク市内の住宅供給不足に対応すると同時に、オフィス需要の減少への対応をにらんだものとみられる。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されたものの、労働者のオフィス復帰が新型コロナ禍前の水準まで戻る見込みは低いとみられている。

(注)対象者は年収1万ドル以上の在宅勤務可能な職に就く20~64歳の全米の労働者。回答者数は1万2,391人。対象期間は2023年1~4月。

(吉田奈津絵)

(米国)

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