憲法評議会議員を選出、野党・右派が優勢
(チリ)
サンティアゴ発
2023年05月10日
チリで5月7日、新憲法の草案策定を担う憲法評議会議員を決める選挙が行われた。結果は、右派の共和党(PLR)から23人、現政権を構成する左派連合(Apruebo Dignidad)および中道左派の社会党(PS)、自由党(PL)からなる連合(UNIDAD PARA CHILE)から16人、中道右派連合(CHILE SEGURO)から11人、先住民選挙によって選出された1人の計51人が選出された。民主主義のための政党(PPD)、急進党(PR)、キリスト教民主党(DC)からなる中道左派連合(TODO POR CHILE)と、政党単独で名簿を提出した人民党(PDG)については、議席の獲得には至らなかった。
これにより、右派と中道右派を合わせた議席数は34となり、草案作成を進める上では野党が優勢となった。最大議席を獲得した共和党はこれまで、新憲法制定の必要性について懐疑的な立場を表明していることから、今後の草案作成の動向に注目が集まる。
義務投票制を採用も、全体の21.4%が無効票または白票に
投票数は有権者の84.47%に当たる1,285万8,862票(開票率:99.98%、先住民選挙:99.89%)で、前回否決された新憲法草案の是非を問う国民投票時の投票率(85.81%)をやや下回った。加えて、今回の選挙では、無効票が211万9,506票、白票が56万8,673票もあり、投票者の5人に1人が無効票または白票を投じた結果となった。
民間の調査会社アクティバ・リサーチ(ACTIVA RESEARCH)は4月24~28日に18歳以上の男女1,034人を対象に世論調査を実施しており、「新憲法制定のプロセスについてどの程度関心があるか」との質問に、51.1%が「全く関心なし・ほとんど関心がない」と回答し、「とても関心がある・関心がある(26.3%)」を大きく上回った。
憲法評議会は選挙から1カ月後となる6月7日に発足し、5カ月の議論を経て、12月17日に新憲法草案の内容承認の是非を問う国民投票が実施される予定となっている。
(岡戸美澪)
(チリ)
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