家具の見本市ミラノサローネ、4年ぶりの4月開催、盛況のうちに閉幕

(イタリア)

ミラノ発

2023年05月09日

世界的な家具・デザインの見本市である、第61回サローネ・デル・モービレ(通称:ミラノサローネ)が、41823日にイタリア・ミラノ郊外のロー・フィエラ・ミラノにおいて開催された。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年の開催は延期となり、2021年は9月、2022年は6月に開催されたため、従来どおり4月に開催されるのは4年ぶりとなった。

4月24日付の主催者発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、来場者数は307,418人で前年比15%増となった。181カ国から来場があり、国別でみるとイタリアに次いで中国からが最多で、ドイツ、フランス、米国、スペインと続き、ブラジルとインドが同数だった。

会期初日にはジョルジャ・メローニ首相が開会イベントでスピーチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、「国際的にも並外れたショーケースだ」と評するとともに、質の高いメード・イン・イタリーのブランド力強化、またそれを生む企業支援に、政府として取り組んでいく方針について発言した。

ミラノサローネは、主催者による厳しい審査に通過した企業のみ出展が可能となり、出展ホールやブースの位置も全て主催者が決定する。厳しい出展条件のもと、質の高い展示を担保しているほか、環境、経済、社会に対する責任を重視し、2023年の閉幕後にはイベントの持続可能な管理に関する国際規格ISO20121の認証を取得した。また、会場内では、共用部品に再生・リサイクル材料を使用し、前年に提案した持続可能なセットアップのためのガイドラインを出展企業へも拡大するなど、サステナビリティへの取り組みを強化した。

ミラノサローネの開催時期に合わせ、ミラノ市内では個人、企業、団体などによる運営団体がない、自由展示フオーリサローネが開催された。市内各所で展示やイベントが行われ、にぎわいを見せた。異なる2つのイベントが同じ1週間にミラノで同時開催されることから、総称としてミラノデザインウィークと呼ばれている。フオーリサローネには、イタリアのパートナーとの連携や、イベント・展示スペースとの直接交渉などを通じて出展した日本企業も見られた。

イタリア家具工業連盟(FederlegnoArredo)の4月12日付の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年の木材・家具業界の売上高は565億ユーロで、2019年の432億ユーロ、2021年の502億ユーロより増加し、前年比12.6%増となった。うち家具業界の売上高は約290億ユーロで、国内売上高が約136億ユーロ(前年比9.2%増)、輸出が約153億ユーロ(12.6%増)と拡大。輸出はフランス向けが24億ユーロ(8.0%増)で1位となり、次いで米国(19億ユーロ、25.5%増)向けが牽引した。ドイツ(14億ユーロ、9.5%増)、英国(約8億ユーロ、8.9%増)、スイス(約7億ユーロ、14.7%増)が続いた。一方で、同発表では、2022年は原材料やエネルギー価格の高騰により、家具業界も価格高騰の影響を受けたとした。

イタリア家具工業連盟のクラウディオ・フェルトリン会長は、418日付のミラノサローネ主催者発表の中で、2023年は原材料とエネルギー価格がようやく低下し、新型コロナウイルス感染拡大以前のレベルに戻ることが予想される年であり、木材・家具業界は売上高だけでなく生産においても成長が見込まれる旨をコメントした。

写真 ミラノサローネの会場外観(ジェトロ撮影)

ミラノサローネの会場外観(ジェトロ撮影)

写真 ミラノ市内のフオーリサローネの様子(ジェトロ撮影)

ミラノ市内のフオーリサローネの様子(ジェトロ撮影)

(山本千菜美)

(イタリア)

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