チリのエネルギー相が欧州3カ国歴訪、グリーン水素サプライチェーン構築へ協力関係強化を推進

(チリ、オランダ、ドイツ、ベルギー)

サンティアゴ発

2023年04月13日

チリのディエゴ・パルドウ・エネルギー相は3月27~31日、同国をグリーン水素の主要生産国の1つに位置づけることを目的として、オランダ、ドイツ、ベルギーの3カ国を訪問した。この訪問では、チリで生産するグリーン水素や合成燃料の輸出サプライチェーン構築に向けて、ドイツの経済・気候保護省、オランダのロッテルダム港、ベルギーの水素輸入連合、ドイツのフライベルク工科大学の各関係先との協力強化を進めた。

欧州訪問の初日、パルドウ・エネルギー相はロッテルダムを訪問し、3月末が期限となっていたロッテルダム港との協力覚書(MOU、2021年3月29日記事参照)を再締結し、期限を3年間延長した。その後、エネルギー相はハーグに移動し、ロブ・イェッテン気候・エネルギー相と、2023~2025年の2国間のグリーン水素に関する戦略的協力の構築に焦点を当てた協定に署名した。これには、新しい港湾インフラの整備や、規制面での経験の共有、航空機に使用される持続可能な燃料分野での協力などが含まれている。

ベルギーのアントワープ港とゼーブルージュ港への訪問時には、水素輸入連合(Hydrogen Import Coalition)の代表や、ティネ・バン・デ・ストラーテン・エネルギー相と会談し、チリのグリーン水素産業の発展と、製造されたグリーン水素を欧州に輸送するための協力について意見交換を行った。

ドイツへの訪問に際しては、ベルリンにあるシーメンス・エナジーの水電解装置の製造工場の視察を行った後、ロベルト・ハーベック経済・気候保護相と会談し、エネルギーパートナーシップ協定(EP)の拡大に署名した。これにより、チリとドイツ両国間で発電、住宅、モビリティー、製造業などの分野で脱炭素を推進させる。加えて、フライベルク工科大学のグリーン水素産業に関連するトレーニングプログラムに、チリの若い専門家を少なくとも10人招待する奨学金プログラムについての発表も行われている。

ほかにもパルドウ大臣はドイツのハンブルグ港にも立ち寄り、チリで製造した合成燃料(注)を輸入・保管するためのハブの建設プロジェクトの発表会にも出席した。チリ政府は022年8月、ハンブルグ港とグリーン水素に関するMOUを締結している(2022年8月30日記事参照)。

(注)二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を合成して製造される燃料のことで、再生可能エネルギー由来のH2と大気中のCO2を合成することで生成される。

(岡戸美澪)

(チリ、オランダ、ドイツ、ベルギー)

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