2022年のGDPは29.1%減、2023年に入り回復の兆し

(ウクライナ)

欧州課

2023年04月25日

ウクライナ国家統計局の発表(4月13日)によると、同国の2022年の実質GDP成長率はマイナス29.1%だった。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響を受け、ウクライナが独立した1991年以降で最も低い成長率を記録した。

経済活動別でみると、公務・強制社会保障が前年比35.4%増となった。ロシアの侵攻を受け、国防関連の支出が増加したためだ。その他の全ての産業は前年比マイナスだった。上記と同じ理由で、需要項目のうち一般政府最終消費支出が18.0%増だった(添付資料表参照)。

ウクライナ国立銀行(中央銀行)は14日、2022年のGDP成長率に関する解説を発表した。GDP落ち込みの要因として、a.ロシアによるウクライナ領土の占領、b.インフラや生産施設の破壊、c.黒海に面する港の封鎖、d.サプライチェーン(供給網)の混乱、e.大規模な人口流出を挙げ、これらの要因が消費者需要、投資活動、輸出、農作物の収穫の急減につながったとした。

経済の現況についてウクライナ中銀は、電力部門の状況が大幅に改善していること、企業や家計の戦況への適応が進んでいることや、国際的な支援により、2023年初頭に景気が回復に転じたと指摘した。戦争の継続が下押し要因であるものの、景気の回復が続き、実質GDPの減少を避けることは可能と中銀はみている。

IMFが4月11日に発表した世界経済見通し(2023年4月13日記事参照)によると、2023年のウクライナのGDP成長率はマイナス3.0%。2024年以降の成長率については不確実性が高いとして予測していない。

(浅元薫哉)

(ウクライナ)

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