AMRO見通し、コストプッシュ型インフレは2024年までに解消

(中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本)

シンガポール発

2023年04月10日

シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局」(AMRO)は4月6日、2023年のASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)実質GDP成長率を前年比4.6%、2024年を4.5%とする予測を発表した(添付資料表参照)。

グループ別にみると、2023年の「+3」の成長率(4.5%)は、2022年(2.6%)より高くなると予測した。AMROは報告書の中で、「+3」のうち、中国と香港について、「新型コロナウイルス感染症の封じ込め措置が解除され、経済が完全に再開されることで、回復を主導する」との見方を示した。2024年(4.3%)は、「主に中国と香港の成長が正常化する」とし、2023年からは低下するとの見通しだ。

2023年のASEANの成長率(4.9%)は、2022年(5.6%)から減速すると予測した。AMROは、「インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナムは、米国と欧州の減速に伴う外需の失速により、成長ペースが鈍化する」とする。他方で、「中国人観光客の回復は、カンボジアとタイを中心に地域の観光業を大きく後押しする。ブルネイとミャンマーの成長は、主に国内消費と投資支出の回復によってもたらされる」とした。2024年の成長率(5.2%)は、「域内の製造業輸出や観光収入に弾みがつく外需の回復が見込まれ、内需の継続的な強化を補完する」とし、2023年より高くなると予測した。

AMROは、ASEAN+3が直面する主要なリスクとして、「エネルギー価格の高騰」「より毒性の強い新型コロナウイルス(の出現)」「中国の予想より遅い回復」「米国の(予測よりも)急な減速」「地政学的緊張の高まり」などを挙げた。

2024年までにコストプッシュ型インフレ解消の見通し

2023年のASEAN+3のインフレ率は4.7%と、2022年(6.5%)より低くなると予測した。通貨安の影響で高インフレが続く可能性が高いラオスとミャンマーを除いた地域の2023年のインフレ率は3.4%と見込む。「世界的な需要減退に伴い、世界の商品価格が下落することから、域内のほとんどの経済圏でインフレ率は昨年より低下する」とした。

また、「世界のエネルギーと食料の価格が安定すると予測されていることから、インフレ率は2024年には長期的なトレンドに向かって正常化する。経済の全面的な再開に伴い生産活動が再開されるため、供給のボトルネックは緩和される」とし、「コストプッシュ型のインフレ圧力は、2024年までに解消される」との見方を示した。

(朝倉啓介)

(中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本)

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