世帯収支調査の結果を発表、貧困率減少も格差は拡大

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年04月21日

バングラデシュ統計局(BBS)は4月12日、世帯収支調査(HIES)2022年版の調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。本調査は、1971年の独立直後の1973/1974年度(1973年7月~1974年6月)から実施され、今般17回目となるBBSの旗艦調査の1つで、2000年(第13回調査)以降は世界銀行による技術支援のもとで実施されている。世帯当たりの収入や支出、電化率や貧困率など、さまざまな基本的な指標が調査対象となっている。今回の調査結果では、各項目で、前回調査時(2016年)から多くの進展がみられた。

識字率と電化率が大きく向上、農村部の水道整備は進まず

7歳以上の識字率は74.0%と前回調査時から8.4ポイント上昇し、電化率(ソーラーパネルなどオフグリッドの電源を含む)は99.3%と前回調査時から23.4ポイントの大幅上昇になった。飲用水の主要な供給源については、都市部で水道の割合が56.6%と前回から19.3ポイント上昇したのに対し、農村部では大きな改善はみられなかった。

貧困率減少も格差が拡大

世帯当たりの月収は、全体平均で3万2,422タカ(約4万1,000円、1タカ=約1.27円、都市部で4万5,757タカ、農村部で2万6,131タカ)と前回調査時から約2倍に拡大した。月当たりの支出についても、総支出が全体平均で3万1,500タカ(都市部で4万1,424タカ、農村部で2万6,842タカ)、消費支出が3万0,603タカ(都市部で3万9,971タカ、農村部で2万6,207タカ)とそれぞれ前回調査時の約2倍となった。

貧困の状況については、貧困ライン(UPL)以下の人口割合が18.7%と前回調査時から5.6ポイント減少し、最貧困ライン(LPL)(注)以下の人口割合が5.6%と前回調査時から7.3ポイント減少と推定され、改善がみられた。

一方で、所得格差を計るジニ係数は0.499と前回調査時より0.017ポイント上昇し、格差の拡大が進んでいる実態が明らかになった。

国外移住は微増、フォーマルな金融の利用が増加

その他、直近5年間での世帯メンバーの移住についての統計も発表されており、国内への移住については2.3%と前回調査時から0.7ポイント減少しているのに対し、国外への移住は8.3%と前回調査時から0.06ポイントの上昇と微増した。

また、銀行口座を開設している世帯の割合が14.1%と前回調査時から2倍近くに上昇するなど、フォーマルな金融システムを利用する世帯の割合の増加もみられた。

(注)最低水準の生活を維持するために、必要な食料と非食料のコストを基に算出される。UPLとLPLの算出方法はCBN法に準拠。詳細は原典PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のANNEX3を参照。

(薄木裕也)

(バングラデシュ)

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