3月の主な動きは、同盟・パートナー諸国との連携、ジェトロ月例レポート(2023年3月)

(米国、中国)

米州課

2023年04月17日

ジェトロは4月13日、米国の対中国関連政策についてまとめた2023年3月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

2023年2月は中国の偵察気球が米国本土上空を航行し、アントニー・ブリンケン国務長官の訪中延期が決定するなど(2023年2月6日記事参照)、両国間の緊張が高まっていた。これを受け、バイデン政権は3月中旬まで中国とのハイレベルでの接触を回避するとともに、3月3日の米国・ドイツ首脳会談、7日の米国・フランス首脳会談、そして13日のAUKUS(米国・英国・オーストラリア)首脳会談を通じて、共通の課題に直面する同盟諸国やパートナー国との連絡や調整を行った。一方で3月20日には、ジョン・カービー国家安全保障会議(NSC)戦略広報調整官が、ホワイトハウスでの記者会見において「(ブリンケン国務長官の北京訪問は)延期されたが、キャンセルになったわけではない」「(ジャネット・)イエレン財務長官や(ジーナ・)レモンド商務長官の訪中について中国側と話し合っている」と述べるなど、今後の閣僚級の訪中および対話の再開には含みを持たせた。

ただし、3月9日に発表された2024会計年度(2023年10月~2024年9月)予算教書に関するファクトシートでは、中国を「国際秩序を変えようとする意思と、それを実現するための経済的、政治的、軍事的、そして技術的な力を持ち合わせている唯一の競争相手国」とあらためて記載し、その競争に勝ち抜くために自国の競争力を強化しようという姿勢が引き続きみられる。

連邦議会では、バイデン政権の対中政策に呼応するかたちで、中国によるさまざまな影響力を弱めることを目的とした法律が、党派を超えて提案されている。これらについては、米国議会の中国に対するメッセージの発信を意図したものであり、すべての法案が成立することは期待されない一方で、今後の中国の動向やバイデン政権による対中政策の実施内容によっては、一部が成立する可能性は否定できず、今後も注視を要する。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(滝本慎一郎)

(米国、中国)

ビジネス短信 e4f596636caff7f7