外国人幹部職向け就労査証審査、人材不足27職種に追加ポイント

(シンガポール)

シンガポール発

2023年04月04日

シンガポール人材省(MOM)は3月31日、9月1日から導入する外国人の幹部・専門職向けの就労査証「エンプロイメント・パス(EP)」の新しい審査ポイントシステム「補完的評価フレームワーク(COMPASS)」の詳細を発表した。アグリテックや排出権取引など人材が不足している27の専門職種について、追加ポイントを付与する。

COMPASSは、タン・シーレン人材相が2022年3月に導入を発表したEPの新たな審査方式(2022年3月8日記事参照)。(1)EP申請者の固定給与、(2)EP申請者の学歴、(3)幹部・専門職の国籍の多様性、(4)企業の地元雇用創出への貢献の4基準で申請者を審査。それぞれ、想定以上ならば20ポイント、想定どおりなら10ポイント、想定未満は0ポイントと評価する。さらに、追加ボーナスとして、(5)人材不足が生じている職種に該当していれば20ポイント、(6)政府の優遇プログラムの認定企業ならば10ポイントをそれぞれ加算する(添付資料表参照)。合計点が40ポイント以上で、EPの発給基準となる最低月給(注1)を上回れば、EPが発給される。

MOMによると、20ポイントの追加ボーナスを付与する人材不足が生じている27の職種は、アグリテック、金融サービス、排出権取引関連(グリーンエコノミー)、ヘルスケア、情報通信(IT)、海運部門の職種(注2)。ただ、EP申請者が人材不足の職種に該当しても、申請者の国籍が社員の国籍の3分の1以上を占める場合には、加算ポイントが10点と減点される。MOMは人材不足のリストは3年ごとに見直す予定だが、必要に応じてリストに職種を追加、または削除する可能性もあるとしている。

MOMはEP審査の評価項目である申請者の学歴について、20ポイントの最高評価を付与する大学のリストも公表した。最高評価が与えられるのは英国高等教育評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)の世界上位100位大学のほか、シンガポールの公立大学とその他のアジア有名大学と有名学部となる(注3)。日本の大学については、東京大学、京都大学、大阪大学、東京工業大学、東北大学がリスト入りした。その他の大学については全て10ポイントとなる。

COMPASSは、EPの新規申請は2023年9月1日から導入され、既存のEPの更新については2024年9月1日から適用される。

(注1)EP新規申請の発給基準となる最低月給は現在(4月3日時点)、5,000シンガポール・ドル(約50万円、Sドル、1Sドル=約100円)以上。金融分野は5,500Sドル以上。EP更新については2023年9月1日から最低月給が5,000Sドル(金融部門が5,500Sドル)となる。

(注2)人材不足の具体的なリストは人材省のサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注3)最高評価の対象となる大学のリストは人材省のサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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