2022年の日本の対ASEAN直接投資、前年比1割減の2.7兆円
(ASEAN、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー、日本)
バンコク発
2023年04月21日
日本銀行は4月10日、2022年の日本の対外直接投資統計を公表した。同年における日本の対ASEAN直接投資額(ネット、フロー)は、前年比9.9%減の2兆6,539億円だった(添付資料表参照)。日本の対外直接投資(世界全体)が31.8%増の21兆2,330億円と増加基調にあるなか、ASEANへの投資は一服した格好となった。日本の対外直接投資全体に占める構成比では、ASEANは11.7%と、太宗を占める米国(36.9%)に比べて3分の1程度だったが、中国(5.2%)の2.4倍の規模となった。
ASEAN各国別でみると、最大の直接投資先となったのはタイで、前年比約2.3倍の7,757億円だった。タイに次いで、シンガポールが58.9%減の7,035億円、ベトナムが9.4%減の3,769億円の順となった。インドネシアは2.3倍の3,344億円と増加し、マレーシアは1.3%増の2,233億円とほぼ横ばいだった。ミャンマーへの投資はマイナス9億円と、引き揚げ超過に転じた。
業種別でみると、ASEAN全体では非製造業への投資が66%を占めた。卸売・小売業はシンガポール向けを中心に増加し、前年比4.5倍の6,255億円となった。また、金融・保険業はタイを中心に拡大し、53.2%増の5,543億円だった。製造業では、電気機器が93.2%増の2,011億円と多く、鉄・非鉄・金属(2.4倍、1,649億円)、化学・医薬(86.5%減、1,518億円)などが続いた。
タイへの投資では電気・電子が伸長
タイへの直接投資額は、現行基準での統計が開始された2014年以降では最高額になった。同国への直接投資では、特に金融・保険業が前年比4.8倍の4,459億円と大きかったほか、製造業では電気機械器具が5.3倍の923億円と拡大した。タイでは日系電気・電子メーカーによる投資案件が相次いでおり、村田製作所が2023年3月27日に積層セラミックコンデンサーの新工場の竣工を発表した(投資額:建屋のみで約120億円)ほか、ソニーも2024年度中に車載向けイメージセンサーの新工場を設置(投資額:約100億円)すると発表している。
(北見創)
(ASEAN、タイ、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー、日本)
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