広東省、2022年知的財産権に関する訴訟件数が史上初の減少に

(中国)

広州発

2023年04月28日

中国・広東省高等人民法院は4月23日、「世界知的財産の日(4月26日)」に合わせ、2022年の「広東省内の人民法院における知的財産権の司法保護の状況」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに関する白書を発表した。

白書によると、2022年に同省内の人民法院が新規で受理した知的財産権に関する訴訟件数(一審、二審、再審を含む)は前年の19万6,796件(2022年5月10日記事参照)から11万7,095件となり、史上初めて減少に転じた。同省内の人民法院が、案件に関する紛争原因の対処と訴訟前の調停を実施したことが奏功したという。また、同省内の人民法院が審決した知的財産権案件は12万366件となった。

知的財産権に関する新規受理件数では、一審案件が10万2,967件で、うち一審民事案件が10万1,722件だった。一審民事案件のうち、著作権案件が6万4,392件(前年比52.0%減)、商標権案件が1万8,632件(8.9%減)、その他の案件が4,663件(24.3%減)だった。一方、専利権(注)案件は1万1,676件(21.0%増)、不正競争紛争案件は1,888件(43.9%増)、技術契約案件は471件(34.2%増)となった。二審民事案件は1万2,957件で、そのうち著作権案件が8,480件(44.3%減)、その他の案件が501件(76.1%減)だったが、商標権案件は2,299件(1.1%増)、専利権案件は1,202件(46.1%増)、技術契約案件は90件(28.6%増)、不正競争紛争案件が385件(21.8%増)となっている。

これまで多くを占めていた著作権案件数は2020~2022年で年間平均33.7%減少し、知的財産権における民事案件全体に占める割合は83.4%から63.3%に減少した。他方で、有名ブランドや高付加価値の専利権などに関する案件数と全体比は継続的に上昇した。また、商標権の案件数も年間平均22.1%増加しており、全体比は7.1%から18.3%に増加した。専利技術案件および不正競争紛争案件は年間平均4.1%の増加で、全体比は7.4%から13.8%に上昇した。知的財産権紛争の最近の傾向として、これまで多くを占めていた著作権から核心技術やブランド品質などの面での紛争に変化しているようだ。

(注)中国では特許権、実用新案権、意匠権を含む。

(黎偉君)

(中国)

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