広東省、2021年の民事の知財訴訟の審決件数は中国全体の3分の1

(中国)

広州発

2022年05月10日

中国の広東省高等人民法院は4月25日、「世界知的財産の日」(4月26日)に合わせ、2021年の「広東省内の人民法院における知的財産権の司法保護の状況」に関する白書を発表した。

白書によると、2021年に同省内の人民法院が受理した知的財産権に関する訴訟件数(一審、二審、再審を含む)は19万6,796件で、前年比0.4%増となった。一審案件は17万3,637件(前年比2.0%減)で、うち民事案件が17万2,145件(2.1%減、注1)、刑事案件が1,449件(7.2%増)、行政案件が43件(約2倍)だった。行政案件の増加について、4月25日付の「広州日報」は「広東省の知的財産権を扱う司法部門と行政部門の連携による知財保護メカニズムが強化されていることの表れだ」と指摘した。

同省内の人民法院が審決した知的財産権案件は前年比1.1%増の19万5,055件だった。うち19万3,273件は民事案件で、中国全体の審決件数の約3分の1を占めた。また、一審で審決した民事案件の半数以上となる8万6,060件が調停または撤回によって解決した。人民法院が多様な手法で知的財産権に関する紛争解決を図っているものとみられる。

第5世代移動通信システム(5G)や、チップ設計、植物新品種、新エネルギーなどの技術に関わる案件の審決件数は前年比27.9%増の1万1,316件となった。うち、広州知識産権法院が審決した件数は19.4%増の5,996件、深セン知識産権法廷の審決件数は39.1%増の5,320件だった(4月25日付「広州日報」)。

なお、広州知識産権法院では、2021年に国家知識産権局とともに専利無効審判(注2)の請求案件に対して優先審査を行うスキームを確立。これにより、当該案件の審判に要する期間が2カ月短縮できるようになった(4月25日付「広州日報」)。

(注1)民事案件17万2,145件のうち、著作権が13万4,217件、商標権が2万457件、専利案件が9,647件、不正競争紛争案件は1,312件。

(注2)専利(特許、実用新案、意匠)を無効にすることを目的とする審判。

(黎偉君)

(中国)

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