新型コロナ禍からの経済回復で売り上げ急回復、「寿司ロボット」の鈴茂器工

(シンガポール、日本)

シンガポール発

2023年04月18日

厨房(ちゅうぼう)機械メーカーの鈴茂器工(本社:東京都中野区)の主力製品「寿司ロボット」などの厨房機器の売り上げが2022年、新型コロナウイルス禍からの経済回復を受けて、シンガポールを中心に東南アジアで急回復し、過去最大となった。同社のシンガポール子会社スズモ・シンガポールの能勢隆明ディレクターが4月3日、ジェトロのインタビューで明らかにした。

鈴茂器工は2015年にシンガポールで現地法人を設立。シンガポールのほか、フィリピンやタイ、インドネシア、マレーシアなど東南アジア10カ国で、「寿司ロボット」や「海苔巻きロボット」、ご飯を盛り付けるロボットなど、米飯を中心とした厨房機器を販売している。能勢ディレクターによると、2022年の東南アジアにおける同社厨房機器売り上げの約半分はシンガポールだという。能勢氏は「米食関連の厨房機器では、鈴茂器工がシンガポールで肌感覚でも9割近いシェアを有しているのではないか」と述べた。

シンガポール政府は2018年4月から、自動化の機器やITソリューションなどの購入の補助金「労働生産性向上ソリューション補助金(PSG)」を導入している。飲食サービス事業者に対しては2022年4月から2023年3月まで自動化機器購入費の最大8割、2023年3月からは同5割を補助している。こうした手厚い政府の補助が「寿司ロボット」など省力化に資する機器の販売拡大を支えている。

鈴茂器工の厨房機器は同国では、大手のスーパーやディスカウント店、回転ずしチェーン、レストラン、テイクアウト店など、幅広い業態に納入されている。同ディレクターによると、最近では日本食だけでなく、韓国風のり巻きのキンパが人気で、シンガポールやマレーシアでのり巻き機の販売が伸びているという。同ディレクターは、「食のおいしいや『温かい』を世界の人々へ」を掲げる鈴茂器工の理念を、厨房機器販売を通じて拡大して行きたいと語っている。

写真 鈴茂器工が製作した世界最速のすしのシャリ玉ロボット、1時間で4,800貫をつくる(ジェトロ撮影)

鈴茂器工が製作した世界最速のすしのシャリ玉ロボット、1時間で4,800貫をつくる(ジェトロ撮影)

(本田智津絵)

(シンガポール、日本)

ビジネス短信 c338d8fc92eb539c