中国、アフガニスタン問題に関する立場を発表、米国に責任を負うよう求める

(中国、アフガニスタン、ウズベキスタン、ロシア)

北京発

2023年04月14日

中国の外交部は4月12日、「アフガニスタン問題に関する中国の立場外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。アフガニスタンの独立および主権と領土の完全性の尊重、平和復興、テロ対策、人道問題解決、麻薬取り締まり支援など11項目が示されている。

発表では、米国に対してアフガニスタンとの合意を責任もって履行するよう求めた。国際社会では、米国がアフガニスタン問題の原因とみられており、海外資産の差し押さえや一方的な制裁が、アフガニスタンの人道状況の実質的な改善を妨げている最大の外部的要因だとしている。

また、外部勢力によるアフガニスタンへの介入と浸透に反対するとして、外国勢力による「民主化」が多大な損失と痛みをもたらしたことを指摘した。その上で、関係国はアフガニスタンおよび周辺地域に軍事施設を配備したり、テロ対策で「ダブルスタンダード」をとったり、テロを支援したりすることにより、地政学的陰謀の実現を試みるべきではないとした。

その他、アフガニスタン問題に関する国際的・地域的調整を強化するとして、アフガニスタン隣国外相会議、上海協力機構、「モスクワモデル」協議(注1)、中国・米国・ロシア・プラス協議メカニズム(注2)などのプラットフォームを通じて、アフガニスタンの安定に努めるとしている。

今回の発表は、4月12~13日にウズベキスタンで開催され、中国の秦剛外交部長が参加した第4回アフガニスタン隣国外相会議に合わせたもの。同会議には、中国のほか、ウズベキスタン、ロシア、イラン、タジキスタン、トルクメニスタン、パキスタンの外相らが参加している。これまで、2021年9月に第1回がオンラインで、同年10月に第2回がイランでオンライン・オフラインで開催され、2022年3月に第3回が中国で開催されている。

米国を名指しで取り上げたことについて、西北大学の王晋副教授は「米国はアフガニスタン問題において歴史的および、現在、未来における重要な役割を演じていることから、国際社会の注目を集め、問題解決を推進することを狙ったもの」とし、米国はアフガニスタン問題における責任から逃避していると指摘した(「看看新聞」4月13日)。

なお、秦部長は4月13日、会議に合わせて、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談を行った。外交部の発表では、秦部長はウクライナ問題に関する中国の国際社会に対する呼びかけを紹介し、ラブロフ外相は中国の立場を高く評価したとされている。

(注1)ロシアが主催するアフガニスタン問題に関する協議。

(注2)中国、米国、ロシアに関係国を加えたアフガニスタン問題に関する協議。

(河野円洋)

(中国、アフガニスタン、ウズベキスタン、ロシア)

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