第1四半期の実質GDP成長率は4.5%、サービス消費の回復が寄与

(中国)

北京発

2023年04月20日

中国国家統計局(以下、国家統計局)は4月18日、2023年第1四半期(1~3月)の主要経済指標を発表した(添付資料表参照、注1)。同期の実質GDP成長率(前年同期比)は4.5%となり、前四半期(2022年10~12月)と比べて1.6ポイント上昇した(添付資料図参照)。

投資(固定資産投資)は前年同期比5.1%増となった。製造業投資(7.0%増)やインフラ投資(8.8%増)は投資全体の伸びを上回って好調だったが、不動産開発投資が5.8%減となり、下押しした。

消費(社会消費品小売総額)は前年同期比5.8%増となった。単月でみると、3月の伸びは前年同月比10.6%と2021年6月以来の2桁増となった。3月の消費を類型別にみると、財の消費が9.1%増、飲食消費が26.3%となり、サービス消費の力強い回復が見られた。

工業生産増加額(付加価値ベース)は、前年同期比3.0%増となった。単月でみると、3月は前年同月比3.9%増となり、2022年12月を底にして回復傾向にある。

3月の消費者物価上昇率は0.7%と、2021年9月以来の低さになった。国家統計局は、物価の伸び鈍化の要因として、春節後という季節的な要因、エネルギー価格の下落、自動車メーカーの値下げによる小型車の価格下落などを挙げた。

3月の都市部調査失業率は5.3%と、前月より0.3ポイント低下した。一方、大卒者を含む16~24歳の同失業率は19.6%で、2022年7月以来の高さになった。

国家統計局は、第1四半期の経済状況について、新型コロナウイルス防疫措置の緩和に伴い、企業の生産と市民生活の回復が加速し、経営主体の期待も好転(注2)する中で、経済は安定の中で回復を遂げたと評価した。今後については、比較対象となる2022年は第2四半期の値が新型コロナウイルスの影響で低く、その後第3、第4四半期にかけて高くなったため、2023年は前年同期比でみると第2四半期に加速した後、一定程度落ち込んでいくことになるが、その要因を除外すると、2023年は全体として緩やかな成長を遂げる、との見通しを示した。

第1四半期の経済実績について、粤開証券の羅志恒首席エコノミストは、4.5%という成長率は市場の予想を上回っており、これは3月に宿泊・飲食・旅行などのサービス業の力強い回復と輸出の予想以上の伸びがみられたため、と指摘した。他方で、現状の問題として総需要の不足を指摘し、第1四半期の民間投資の伸びが0.6%にとどまったことは、民間企業の活動やマインドが回復途上にあることを示しているとした(「21世紀経済報道」4月18日)。

(注1)2023年第1四半期の貿易動向については、2023年4月19日記事参照

(注2)国家統計局は、企業の期待が全体として上向いている例として、製造業購買担当者指数(PMI)が2023年に入ってから3カ月連続で好不況の境界線である50を上回ったことを指摘している。

(小宮昇平)

(中国)

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