第1四半期の貿易、日米韓向けは2桁減、EVなどグリーン関連製品輸出が下支え

(中国)

北京発

2023年04月19日

中国海関総署の4月13日の発表によると、2023年第1四半期(1~3月)の貿易総額は前年同期比2.9%減の1兆4,390億ドル、輸出額は0.5%増の8,218億ドル、輸入額は7.1%減の6,171億ドルだった。

貿易総額を主要な貿易相手国・地域別にみると、最大のパートナーのASEANとの貿易は、中国からの輸出が18.6%増と好調だったこともあって、7.6%増と堅調な一方、米国、日本、韓国との貿易は2桁減と大きく落ち込んだ。輸入では、台湾が3割近く減少し、オーストラリアが2桁増と日韓を上回り、輸入額で第5位に浮上した(添付資料表参照、2023年4月18日記事参照)。

主要品目別にみると、輸出では、PCなどの自動データ処理機械、携帯電話、液晶フラットパネルディスプレーモジュールなどが減少した一方、自動車(シャーシを含む)や自動車部品、石油製品が増加した。輸入では、シェアの大きいエレクトロニクス製品やハイテク製品が2桁減となった一方、大豆などの糧食や石炭、肉類、食用植物油などが2桁増だった。

海関総署の報道官は第1四半期の貿易について、国内の新型コロナウイルス感染拡大の収束と経済回復に伴う生産や需要の改善が回復を後押ししたと指摘した。また、外需の減速という試練の中でも、貿易の新たな原動力が育っているとし、その例として、電気自動車(EV)、リチウム電池、太陽電池の3種類の製品輸出が全体の伸びを2ポイント押し上げたと紹介した(注)。その上で、今後について、外需の不振や地政学上の問題のために貿易の見通しは依然として厳しく、貿易が経済下支えの役割を発揮するには引き続き努力が必要との認識を示した。

商務部国際貿易経済合作研究院の白明氏は「2022年は繰り返し発生した新型コロナウイルス感染拡大が国内企業の生産や受注に影響したため、2023年の値を前年同期比でみる際は過度な楽観や悲観をせず、冷静にみる必要がある」と指摘している(「21世紀経済報道」4月14日)。

(注)海関総署によると、第1四半期にEV、リチウム電池、太陽電池の3種類の製品輸出が全体に占める比率は4.7%、EV輸出が中国の自動車輸出に占める比率は43.9%となっている。

(小宮昇平)

(中国)

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