長春市で水素燃料電池バス運行の実証実験が開始

(中国)

大連発

2023年04月17日

中国の吉林省・長春市は4月13日、同市で水素燃料電池路線バスの一般道路運行に関する実証実験を開始したと発表した。同実験では6台のバスを長春市内6路線で運行する。片道の最長運行距離は72キロ、1台につき最大46人まで乗車可能。

同燃料電池バス用の水素は、「中韓(長春)国際協力モデル区」にある、グリーン水素製造・貯蔵・充填(じゅうてん)の機能を一体化したステーションから補給される。水素製造の電力は、同モデル区敷地内の工場屋根に配置される太陽光パネルによる発電およびその蓄電システムに由来し、PEM(注)型水電解により水素を製造している。製造後、バッファータンク経由で圧縮してから水素貯蔵ボンベに移すことにより、水素圧縮に必要なエネルギー消耗を軽減することができる。同ステーションは、1日当たり最大450キログラムの水素を製造可能で、約20台の燃料電池バスへの補給が可能となる。なお、同燃料電池バスの充填時間は15分未満で、電気自動車(EV)の急速充電よりも高効率で、充填1回当たりの航続距離は600キロだ。

吉林省政府が2022年11月に公表した「吉林省水素産業のアクションプラン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、同プラン)によると、都市中心部、省内主要都市間、観光スポットを試験エリアとし、水素燃料電池路線バスの一般道路走行の実証実験を実施すると明らかにしていた。同プランでは、2025年までに再生可能エネルギーによる水素の生産量は年間6万~8万トン、グリーンアンモニア、グリーンメタノール、グリーン石油精製量は年間25万~35万トン、水素補給ステーションは10カ所、水素燃料電池車の保有台数は500台という目標を掲げている。

今回の同試験実施の運営会社である吉林電力の関係者は「再生可能エネルギーを通じて水素エネルギー事業におけるグリーンモビリティ、グリーン暖房などによる生態環境の改善やエネルギー不足の解消などの取り組みを今後さらに進めていきたい」と述べた。

(注)PEMとは、固体高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane)を指し、PEMを利用して純水の電気分解により水素と酸素を発生させる水素製造の方法の1つ。

(李莉)

(中国)

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