欧州委、2022年地域競争力指数を発表、EU地域間で引き続き格差

(EU)

ブリュッセル発

2023年04月05日

欧州委員会は3月27日、EUの地域間の競争力を測定する地域競争力指数(RCI2.0)2022年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2010年から3年ごとに実施している同調査は今回、全面改訂され、「基本指標」「効率性」「イノベーション」の3指標の下、制度、高等教育・生涯教育、技術的進歩など11の柱に基づいて分析(注)した(添付資料表1参照)。

調査の結果、EUの地域間で格差は依然としてあるものの、低開発地域での競争力が上がっていることがわかった。域内で最も競争力のある地域はユトレヒト州(オランダ)で、次いでロッテルダムやハーグなどを擁するズイド・ホーランド州(オランダ)、パリの首都圏イル・ド・フランス州(フランス)となった(添付資料表2参照)。上位10位にオランダは5地域(首都圏を含む)、ベルギーは2地域(首都圏を含む)、その他、フランス(上述)、スウェーデン、デンマークの首都圏が入った。

国別でみると、オーストリア、ベネルクス、ドイツ、北欧では、全地域がEU平均を上回り、東側は首都圏を除くほとんどの地域でEU平均を下回った。

首都圏は、ドイツ、イタリア、オランダを除き、各EU加盟国で最も競争力が高い。首都圏との格差は特にフランス、ルーマニア、スロバキアで大きかった。また、競争力の高い国ほど、首都圏と他地域の差は小さい傾向があった。

前回調査(2019年)時点で競争力が比較的低水準だった国の改善状況にはばらつきがみられた。バルト3国、クロアチア、ハンガリー、ポーランド、スロベニアなどは、継続的な改善がみられた。一方、チェコ、ルーマニア、スロバキア、ブルガリアなどはEU平均からさらに遠ざかった。EU南部では、ポルトガル、スペイン、ギリシャの大半の地域が競争力を改善したが、イタリアとキプロスの大部分の地域はEU平均から遠ざかった。

より競争力のある地域では、女性向けの制度が整備されており、より良い成果を上げることができ、就業しておらず、教育や訓練も受けていない若い女性が少ない点を指摘した。また、競争力のある地域は就職のしやすさから、特に新卒者にとって魅力的な地域となっているとした。

EUの地域間格差を縮めるには、EUの結束政策に基づき、各地域の雇用創出、企業競争力の強化、経済成長、持続可能な開発、市民の生活の質の向上などのための継続的な投資が必要とした。

(注)RCI2.0では、購買力基準(PPS)でみた国民1人当たりのGDP(2018~2020年平均)を基に、各地域を3段階の開発段階に分類し、開発段階によって異なる比重を3指標に与えた。

(大中登紀子)

(EU)

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