米テネシー州、6Kエナジーのバッテリー正極材工場建設を発表

(米国)

アトランタ発

2023年04月24日

米国テネシー州は4月18日、正極活物質メーカーの6Kエナジーが同州マディソン郡に製造工場(PlusCAM工場)を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。投資額は1億6,600万ドルだが、2022年10月に発表された米国エネルギー省の同社への5,000万ドルの助成金(2022年10月21日記事参照)と合わせると、初期投資額の合計は2億ドル以上となる見込み。将来的には2億5,000万ドルまで投資を拡大する予定だ。

2025年の操業開始を予定しているPlusCAM工場は、敷地面積12万平方フィート(約1万1,150平方メートル)で、230人の新規雇用を予定しており、リチウム電池の正極材料となるNMC811(注1)とLFP(リン酸鉄リチウム)を生産する。同社によると、2025年に年間3,000トン、2026年には年間1万トンの生産が可能となる見込み。このPlusCAM工場は、同社がUniMeltシステム(注2)と呼ぶプラズマ製造プロセスを採用した世界初の正極材工場で、米国内のサプライチェーンに対し持続可能なバッテリー材料を低コストで提供するという。

正極材については、中国メーカーのシェアが高いが、同社の生産する正極材の製造コストは中国から調達するより大幅に低くなるという。正極材は電池の中で最も高価な部品で、報道によると、6Kエナジーはこれを国産化することで、電気自動車(EV)の製造コストを500ドル削減することが可能になる(WBBJ-TVニュース4月18日)。

なお、2023年3月にサウスカロライナ州進出を発表したサーバ・ソリューションズ(2023年3月27日記事参照)は、2022年9月に6Kと合弁会社を設立し、リサイクルバッテリー用正極材を生産すると発表している。

(注1)ニッケル、マンガン、コバルトを8:1:1の割合で配合した正極材料。

(注2)UniMeltシステムは、マサチューセッツ工科大学とコネチカット大学イノベーションラボで発見された技術を基に生まれた商業生産可能な高周波マイクロ波プラズマ生産システム。同社によると、NMC811を製造する場合、伝統的なバッテリー材料製造工程に比べ、水は10%、エネルギーは30%の使用量で済むほか、二酸化炭素(CO2)は70%、廃棄物は100%削減できるとしている。

(吉田祥子)

(米国)

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