中銀が政策金利を1.75%へ引き上げ

(タイ)

バンコク発

2023年04月05日

タイ中央銀行(BOT)は3月29日、金融政策委員会を開催し、政策金利を現行の1.50%から1.75%に0.25ポイント引き上げることを決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。政策金利引き上げは5会合連続となる。段階的な政策正常化を継続することが適切と判断し、全会一致で政策金利を引き上げた。

BOTの発表によると、タイ経済の成長は観光業と個人消費の回復によって牽引されると予測。財輸出は2023年後半には回復基調が勢いづくと見込んでいる。一方で、継続するインフレ圧力と先進国の金融不安により、世界経済の不確実性は増していると評価。2023年、2024年のGDP成長率をそれぞれ3.6%(前回予測3.7%)、3.8%(同3.9%)と、前回予測から下方修正した(添付資料表参照)。

ヘッドライン・インフレ率(総合インフレ率)は2023年半ばまでに目標範囲内に低下すると予測しており、2023年は2.9%、2024年には2.4%に落ち着くとみている。主な要因は供給サイド(特に電気料金と石油価格)のインフレ圧力の緩和とした。

コアインフレ率は2023年に2.4%、2024年に2.0%に低下すると予測している。しかし、過去に負担したコスト上昇分を価格に転嫁する可能性などがあるため、高インフレが持続するリスクは残っているとした。

なお、タイの金融システムは強靭(きょうじん)で、最近の一部先進国での金融不安の影響は、危機にひんした金融機関とタイの金融機関や企業のつながりが限定的なため、小さいと評価した。

(藤田豊)

(タイ)

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