ヘイズ(煙害)被害悪化の恐れ、首都圏などで「不健康」レベルへ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年04月21日

マレーシアのザリハ・ムスタファ保健相は4月19日、ヘイズ(煙害)と熱波が襲来しているとして、「高温とヘイズにさらされないよう、屋外で過ごす時間を少なくすべきだ」と注意喚起した。窓を閉めてヘイズの微粒子が屋内に入るのを防ぐことも促した。

17日にはクアラルンプール市やペナン州でヘイズが悪化し、大気汚染指数(API)が100を超える「不健康」レベルになった(注)。20日午前6時時点のAPIも、セランゴール州ペタリンジャヤで142、同州バンティンで116、ネグリセンビラン州ニライで105、同州セレンバンで154などを記録している。直近では2019年にAPIが「非常に不健康」レベルに到達し、複数地域で学校が閉鎖された。マレーシア環境局が作成した2015年以前のヘイズ被害年表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2005年にはポートクランやクアラセランゴールなどでAPIが500を超え、緊急事態宣言が発出された。この際には学校のみならず、港、事業所、政府機関なども閉鎖に追い込まれた。

ニック・ナズミ天然資源・環境・気候変動相も、今後数カ月間に高温や乾燥が予想されていることから、ヘイズが継続する可能性があるとしている。過去2~3年間は新型コロナウイルスのパンデミックによって経済活動が停滞したことでヘイズは抑制されていたが、感染が収束に向かうに伴い、生産活動や野焼きが再度活発化するとみられるためだ。政府は違法な野焼きの取り締まりなどについて、国家災害管理局、保健省、環境局、消防局、灌漑排水局など複数の省庁間で協議する態勢にあるとしている。

(注)APIは、50以下が「良好」、51~100が「通常」、101~200が「不健康」、201~300が「非常に不健康」、301以上が「危険」とされる(在マレーシア日本大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。時間ごとのAPIは環境局がウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で公表している。

(吾郷伊都子

(マレーシア)

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