職場放棄の従業員は辞職扱い、失業保険受給の対象外に

(フランス)

パリ発

2023年04月25日

フランス政府は4月19日、無断欠勤など職場放棄の従業員を辞職とみなす手続きに関する政令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを施行した。「完全雇用のための労働市場の機能に関する緊急措置法(2022年12月21日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、「従業員が自発的に職場を放棄し、雇用主が設定した期限内に、不在の正当性を証明した上で職場に戻るよう催告を受けた後も職場に戻らない場合、この期限が切れた時点で辞職したものと推定される」と規定していた。催告は、受領証付き書留あるいは受領証付きで手交する(政府のQ&Aページ参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同政令は、雇用主が定める期限を最低15日と定め、職場放棄の正当な理由として、「健康上の理由、退避権(注)の行使、ストライキ権の行使など」と規定した。健康上の理由の場合、職場放棄の日付の診断書を提出することで証明できる。この推定に基づく雇用契約の終了に異議を唱える従業員は、労働裁判所に付託することができる。

これまで職場放棄の従業員に対する雇用契約終了の措置は、解雇のみだった。解雇された従業員は失業保険の受給対象となるが、辞職の場合は失業保険の受給対象外となる。職場放棄の従業員を辞職とみなす手続きは、失業保険を受給しつつ雇用契約破棄を希望する従業員の職場放棄を阻止するための措置として導入された。

労働省調査・研究・統計推進局(DARES)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年上半期に17万3,000件の雇用契約が重大な過失を理由とした解雇により終了し、そのうちの71%に当たる12万3,000件が職場放棄によるものだった。

労働総同盟(CGT)はこの政令について、「このイデオロギー的な不当な措置は、失業者を踏みつけて節約をするものだ」と非難している。

(注)労働法典外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、労働者が生命および健康に対する重大かつ切迫した危険を見いだしたときは、雇用主に警告し危険から退避することができ、制裁を受けないと規定。

(奥山直子)

(フランス)

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